相続放棄と限定承認の違い 限定承認のメリット!

今回の記事では相続における限定承認について、説明していきます。

過去に相続放棄についての記事を書きました。

相続放棄は慎重に!相続放棄の注意点

亡くなられた方にマイナスの財産(借金)などが多くて、相続したくない場合の解決策としての相続放棄の手続きについて、解説しました。

今回の限定承認は、プラスの財産とマイナスの財産どちらが多いか分からない時の手続きです。

「プラスの財産があるなら相続したいけど、マイナスの財産の多いなら相続したくない。」

こんな時に利用すると価値のある制度になります。

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限定承認とは?

相続人は相続放棄、限定承認、単純承認を選択することができます。

相続放棄は相続人たる地位を放棄して、相続関係から完全に離脱すること。

単純承認は、世の中で一番多いパターンで、単純に亡くなった方の財産を相続人がそのまま引き継ぐことです。

 

では限定承認とは?

亡くなられた方の負債や遺贈などを、相続財産の中から弁済して、プラスがあれば、それだけを相続する方法です。

 

例えば事業をやられている方が亡くなった場合。

事業としての借り入れもあり、工場のローンなども残っていたとします。

でも預貯金や株式などもあるし、まだ回収できてない売掛金債権などのプラスの財産もあったとします。

亡くなったばかりの段階では、プラスとマイナスどちらが多いかすぐには分かりません。

相続放棄をしてしまうと、プラスが多かった時に相続できないですし、単純承認してしまうと、マイナスが多かった時に借金を背負ってしまうことになります。

 

このような状況の時に限定承認の制度を利用すると、マイナスの財産を清算して、プラスの財産が残れば、相続できます。

逆にマイナスの財産を相続財産で清算しようとした時に、清算しきれず、マイナスが残ってしまった時は、そこで手続き終了です。

マイナスの財産を相続人が背負う事はありません。

 

このように、亡くなられた方の財産がプラスになるのか、マイナスになるのか分からない時に利用するのが、限定承認です。

限定承認のやり方

では限定承認はどのようにやるのでしょうか?

この手続きも相続放棄と同じく、家庭裁判所のお世話になることになります。

限定承認をする旨を家庭裁判所に申述して、相続財産目録を提出することになります。

 

相続財産目録とは、亡くなられ方の財産すべてを一覧にしたものです。

例えば○○銀行○○支店の普通口座に○○円、○○銀行○○支店から○○円の借り入れなど、すべての財産を書き出した一覧表です。

 

他に債権者等に公告を行う必要があります。

これは相続人には分からない亡くなられた方の債権者を探し出す作業です。

○○が亡くなったので、○○にお金を貸している人がいたら、申し出て下さいと、お知らせをすることです。

 

一定の期間が経過したところで、まずは亡くなられた方の債権者に弁済します。マイナスを返済するということです。

弁済してもまだ残額があれば、遺言における贈与(遺贈)を弁済します。

そしてまだ残額があれば、相続人が残りをもらうことになります。

これらの手続きは相続人が勝手にできるわけでなく、家庭裁判所の管理下に置かれて行うことになります。

限定承認の注意点

相続人全員で家庭裁判所に申し出る必要があります。一部の相続人だけから申し出ることはできません。相続人全員の足並みを合わせる必要があります。

・相続人の一部がすでに、相続財産を勝手に自分の物にしていたりした場合も限定承認はできません。プラスの財産だけ、相続人の一人が手に入れて、消費してしまった様な時は限定承認はできなくなりますので、注意が必要です。

まとめ

限定承認は相続人とって、都合の良い制度です。プラスがあったら相続できて、マイナスが多ければ相続しなくて良いという、とても便利な制度です。

そのために家庭裁判所の管理下で行わないといけないですし、相続人全員の意思疎通をしないといけません。

相続発生時に亡くなられ方の財産がどれくらいあるのか、全然分からないという時は、専門家に限定承認について相談してみるのが、無難かなと思います。