現在の日本は、少子高齢化がすすみ、また、離婚率も上昇しています。
「おひとり様」という言葉がメディアでも出てくるようになって久しいですがこの現状は今後発生するであろう相続に大きな問題をかかえることになります。
全く相続人がいないということが今以上に増えてくることが容易に想像できるからです。
相続人がいない場合どうなるか?
亡くなった方の遺産は最終的に国に帰属しますが、現在でも相続人がいない、あるいはいたとしても全員が相続放棄をしたというケースで遺産を受け継ぐ人がいないケースの話を今回はしたいと思います。
相続人不存在なら相続財産管理人選任
子もなく、親はすでに他界、兄弟もいないということが一人っ子が増えた現在の日本でもよくあることです。
その場合、相続財産を管理してもらうためにまずは裁判所に「相続財産管理人の選任」の申し立てをします。
亡くなった方の債権者や、亡くなった方の特別縁故者(内縁関係にあったような人で、亡くなった方と同一生計にあった人や療養看護をしていた人)が申し立てをすることが可能です。
まず、相続人がいないということを証明するような戸籍を収集し、相続人がいないことを証明しなければなりません。
さらに、裁判所で公告などに時間がかかり、手続きが終了するまでに1年間ほどかかります。
遺産の行き先
亡くなった方の財産で不動産があれば相続財産管理人が売却し、お金に換えます。
そして、現金や預金など遺産の中から病院の入院費や家賃の支払いなどがあれば支払っていきます。
それでも遺産がまだ残っていれば、上述した特別縁故者が遺産をもらうことも可能です。
しかし、そのためには相続人不存在が確定した後3か月以内に特別縁故者への財産分与の申し立てをする必要があります。
そして特別縁故者からも申し立てがなければ最終的に国に遺産が帰属することになります。
遺言の準備を
このように内縁関係にある方や療養看護をしてもらった遠縁の方や、近所の方にお礼をのこしたいとしても、特別縁故者としてそもそも認められるか、認められるとしてもそれまでに多額の費用と長い時間、煩雑な手続きが必要となります。
ですので、遺産を分け与えたいと思うなら生前に遺言をきちんと残しておく必要があります。そして、その際には遺言執行者をきちんと選任して、かわりに手続きをしてもらえるようにしましょう。
現在の日本の状況を考えると今後、このように相続人が全くいないという相続が発生していくことが増えてくるでしょう。ご自身がそうである、あるいは周りにそのような人がいる場合にはぜひとも早い段階から遺言の作成などで専門家に相談することをお勧めします。