相続で揉めるのはこんなケース① ~中途半端な遺言がある~

相続ではちょっとしたことがきっかけで揉めることがあります。今回は中途半端な遺言があることで、かえって揉めることが多いケースと対処法を紹介したいと思います。

法律上の要件は満たさない、偏った配分の遺言

遺言では民法で定められた要件があり、日付の記載や署名、捺印が必要となるなどの要件があります。法律上有効な遺言とはなりません。法律上有効な遺言でなくても、被相続人の意思をくみ取れることができれば、その通り配分することも珍しくありませんが、偏った配分の遺言であった場合は特に注意が必要です。

例えば、子ども二人で一方に有利な遺言であった場合、不利な立場の子どもは遺言が無効であると訴える可能性が高いでしょう。

相続人間で偏った配分とする場合は確実に有効な遺言を遺すことが特に重要になります。公正証書で遺言を作成しておくなど、しっかりと法律上の要件を満たす遺言を作成するようにしましょう。

遺留分を侵害している

配偶者や子どもには最低限財産を相続できる遺留分があります。遺留分は遺言を作成しても侵害することができません。遺言で遺留分を侵害することで、遺留分を請求することになり、かえって相続人間の関係が悪化する可能性があります。遺留分を請求する可能性がある人の遺留分は侵害しないように遺言を作成する必要があります。

財産の一部についての遺言しか書かれていない

遺言書では財産の一部のみ遺言を記載することができます。そのため、預貯金や株式のことを一切書かずに、不動産のみ相続する人を指定する遺言も有効な遺言書となります。

しかし、不動産のみ相続する人を指定している遺言の場合、預貯金や株式等の金融資産を不動産を相続しない人を優先して遺すつもりだったのか、不動産を相続するための相続税の支払いや今後のメンテナンスをするための資金として不動産を相続する人に引き継いでほしかったのかがわかりません。

一部のみ記載する遺言も有効ではありますが、全財産について配分を指定した方がよいでしょう。

予備的な内容が書かれていない

予備的な内容とは財産を遺そうと考えている人が先に亡くなっている場合にどうするかを書いておくことです。例えば、被相続人が亡くなったら自宅は配偶者に遺す内容の遺言を作成している場合で、配偶者が先に亡くなっていると誰に遺すかが決められていない状態になります。

予備的な遺言を記すことで、相続人が先に亡くなっている場合にどのように財産を配分するかも明確にすることができるので、スムーズに配分することができます。