簡単にできる相続税対策②~生前贈与~

今回は前回に引き続き簡単にできる相続税対策を解説します。今回は利用している方や検討している方も多い、生前贈与について解説します。

暦年贈与

最も多くの人が活用しているのが暦年贈与により、非課税の範囲内で贈与をすることです。暦年贈与での非課税枠は年間110万円です。受贈者一人につき110万円まで贈与をすることができますので、より多くの人に贈与をすることで早く財産を減らすことができ、結果的に相続税の節税につながります。

例えば、子どもが二人、それぞれの配偶者と孫が二人いる場合、年間に贈与できる金額は以下の通りです。

①子どものみに贈与する場合:220万円(110万円×2名)
②子ども+孫に贈与する場合:660万円(110万円×6名)
③子ども+孫+子どもの配偶者に贈与する場合:880万円(110万円×8名)

上記のとおり、人数を多くすればするほど、1年間に贈与できる金額が大きくなります。

③のケースで5年間贈与をし続けた場合、4,400万円もの資産を減らすことができるため、かなり節税になります。

贈与の特例を利用する

暦年贈与以外にも子や孫などに贈与をできる制度があります。特例について具体的に解説します。

教育資金贈与の特例

教育資金贈与の特例は孫などに、一括で1,500万円まで非課税で贈与ができる制度です。
教育資金贈与は信託銀行などで、金銭信託として預け、教育資金として使用した領収書などを提出し、出金することができます。
教育資金贈与の特例は一括で1,500万円と高額の贈与ができるため、短い期間で大きな効果を生むことができることや、まだ若い孫などが無駄遣いする心配がないため、メリットも大きい制度です。
教育資金贈与とは別に暦年贈与で贈与をすることも可能です。

住宅取得資金贈与の特例

住宅取得資金贈与の特例はマイホームを購入する18歳以上の子や孫に贈与をした際に非課税になる制度です。
耐熱等性能や耐震基準が一定以上の省エネ等住宅の場合は1,000万円、省エネ住宅以外の場合は500万円まで非課税で贈与をすることが可能です。
贈与を受けた年の翌年の2月15日から3月15日の間に税務署に申告を行う必要があります。手続きがわからない場合は税理士に相談するようにしましょう。

贈与は計画的に

贈与は簡単に節税できる有効な手段ですが、贈与をし過ぎることによって自分の生活費が無くなってしまっては意味がありません。
超高齢化社会となっており老後の医療費なども試算して計画的に贈与を行うようにしましょう。