前回に引き続き相続手続きでどのようなことで困るのか、シリーズで解説していきます。今回は相続人間で合意形成できないケースについて解説します。
相続人間で合意形成できないことが多いケース
どのような状況になると相続人間で合意形成できないケースが多いのでしょうか。パターン別にみていきましょう。
相続人が兄弟姉妹、甥・姪のケース
相続人が兄弟姉妹、甥・姪のケースでは合意形成がすることが難しいケースが多いです。
まず問題となるのが、人数の多さです。兄弟姉妹が亡くなって甥・姪に代襲している場合、相続人が10人を超えることもあります。人数が多く、関係も薄い場合は集まることや話し合うことも難しく、遺産分割について合意ができないケースが多いです。
財産の大部分を不動産が占めているケース
預貯金などの金融資産は相続人が均等に分けることが容易にできます。しかし、不動産などの現物資産は分けることが難しく、共有にしたとしても相続後に様々なトラブルに発展するケースがあります。
不動産は金融資産よりも分けにくいため、トラブルに発展しやすい資産です。
相続人のうち一人に介護などの負担が偏っていた場合
子どもが複数いる場合などで、相続人のうち一人が介護などの負担を一人で担っていた場合、財産も多くもらえると考えがちです。しかし、法定相続割合はあくまで均等ですので、介護によって負担があったため、多くもらうということは他の相続人との話し合いによって決めなければいけません。
介護などの負担は経験者にしかわからないことが多く、他の相続人も納得できないケースも多くあります。
相続人のうち一人が多額の贈与を受けていた場合
相続人のうち一人が多額の贈与を受けていた場合も他の相続人が不公平と感じることが多く、トラブルになることが多いです。住宅取得資金のための贈与で差がつく場合や孫への教育資金贈与では孫の数によって差がつくことがあります。
トラブルを避けるためには遺言の作成で対策を
上記のようなケースに該当する場合は遺言を作成することをおすすめします。相続人間でトラブルになるケースでは、被相続人は「こう思っていたはずだ」と相続人間で主張しあうケースが多くあります。
被相続人がどのように考えていたのかを明確に意思表示できるのが遺言書です。遺言を作成することで生前に被相続人がどのように考えていたかを示すことができるので、相続人間のトラブルを避けることができます。