遺言が残されている場合に、遺言の中で「遺言執行者」が選任されている場合があります。
最近は銀行や各証券会社でも株式の購入や投資信託、外貨預金などをされている方が数多くいらっしゃいます。
今回は前回に引き続き、遺言にて遺言執行者が選任されている場合における証券会社での手続きについて解説します。
証券会社での相続手続き
株式などの有価証券や投資信託、外貨預金などが遺産にある場合、遺言執行者は証券会社に対しおおむね以下の順番で手続きをしていきます。
- 金融機関へ連絡
- 遺言書の交付
- 書面作成
- 証券口座の作成
- 遺産の分配
金融機関への連絡
今回も検認手続きは終了している、あるいは公正証書遺言で作成されておりそもそも検認手続きが必要ないことを前提とします。
証券会社には口座名義人が死亡しており、また資産を凍結してもらいたい旨の連絡をします。
普通預金口座などと異なり、相続財産が凍結されて困ることはないので、早々に連絡をして必要な書類をいただきましょう。
また、証券など価値が変動する場合は遺産の価格の算定が難しいので、各証券会社に対して、死亡日の残高証明の請求をしたほうが資産の把握によりよいでしょう。
遺言書の交付
金融機関に遺言を交付します。遺言に遺言執行者として記載されていれば遺言だけですみますが、そうではなく、被相続人が死亡後に家庭裁判所に遺言執行者として選任されている場合はその旨の審判の謄本も必要となります。
相続人全員の代理人である旨の資格がきちんとあるということを金融機関に対して知らしめるということです。
書面作成
証券会社に対する手続きも、書面は異なるもののおおむね銀行手続きと書類は同じです。
記載の方法や必要書類等は各金融機関によって微妙に異なりますのでそのたびに金融機関に確認されることをお勧めします。
遺言のほか必要な書類として
・被相続人の死亡記載のある戸籍
・相続人の戸籍
上記2点にかえて法定相続情報
・遺言執行者の印鑑証明書
などです。
証券口座の作成
銀行と異なり、証券会社では各種遺産を受け取る人それぞれにその証券会社での取引口座の作成を求められるケースが多いといえます。
証券等を現金化して分配するといった清算型の遺言であった場合でも遺言執行者名義での取引口座を求められることもありますので証券会社と相談してなるべく手間がかからない方法を選択されたほうがいいかと思います。
おわりに
今回は遺言執行者の職務のうち、証券会社への有価証券などの手続きについて説明しました。
預貯金とは異なり、銀行より手続きや作成書類(口座作成書面など)は若干複雑ですので、根気よく手続きを進めていく必要があります。
ご自身の手には負えないと考えた場合は無理せず専門家のサポートを受けられることも視野に入れてみてはいかがでしょう。