相続税の基礎控除が減って相続税を申告、納付する人たちが増えていると言われています。
よく相続税対策のために不動産を購入することにメリットがあると言われていますが、ではなぜ不動産を購入することが相続税対策になるのかということを理解している方は少ないと思います。
今回は不動産の相続税評価の方法をお伝えし、不動産購入のメリットについてお伝えします。
相続税評価
現金や預金などの遺産はなくなられた日付の残高などで確認します。
しかし、不動産は値があってないようなものです。
実際の取引の価格の決定は最終的には不動産の買主と売主の合意で決まります。いわゆる時価とよばれるものです。
そのような曖昧なものではなく、国は基準を決めております。
①土地 路線価
線価がなければ固定資産税評価額をもとにした倍率方式
②建物 固定資産税評価額路
路線価とは
路線価とは毎年7月1日に国税庁が発表します。土地の前面道路の価格が記載されています。詳細な計算の方式は割愛しますが、この路線価は一般的に売買価格の目安とされる公示価格の80%相当が目安です。
固定資産税評価額とは
固定資産税評価額とは不動産の固定資産税の計算をするために毎年自治体が不動産の所有者に対して納税通知書などで通知する金額です。
固定資産税評価額は不動産の時価の70%程度が目安となっています。
つまり土地については実際の売買価格の80%程度、建物については実際の売買価格の70%と減額されて評価されることになります。
実際に考えてみよう
簡易なシミュレートをしてみます。
現金や預貯金で1億円を持っている場合
遺産の評価額=1億円
現金1億円で土地を購入した場合
遺産の評価額=8000万円(20%減)
現金1億円でマンションを購入した場合
土地と建物の割合については売買契約書によりますが、仮に以下のように設定します。
土地 4000万円
建物 6000万円
土地の相続税評価額=4000万円×80%=3200万円
建物の相続税評価額=6000万円×70%=4200万円
遺産の評価額=3200万円+4200万円=7400万円(26%減)
という結果となります。
こちらはあくまで単純化したシミュレーションですが、考え方としては上記のような理屈となります。
タワーマンションは要注意
しかし、このような不動産の相続税評価と現預金などの相続税評価の方法の違いを悪意に利用して遺産総額をむやみに引き下げようとした事案が多発しました。
タワーマンションは上層階と下層階での売買価格の差が大きい場合が多い一方で固定資産税評価額や路線価については低層階も高層階もかわりはしません。
それを利用しタワーマンションを購入することで節税をはかるケースが増えましたので実税価格と相続税評価額が著しく乖離している場合は相続税評価を認めないという判決がでました。
現金で持つより不動産でもつ方が相続税対策になるのは根本的に今後も変わることはないでしょう。ただし、行き過ぎた節税には国も対応いたします。相続税の対策には信頼できる不動産会社と税理士の活用をおすすめします。