日本財団が2017年に20歳~79歳までの男女総勢3097人に遺言に関するアンケートをした結果、 60歳以上の遺言書準備状況は20人に1人となっていました。
対して、遺言に対して無関心な層が 7 割を占めるという結果となっています。
さらに、 遺言書を作成しない理由は、「遺言書を書く程の財産がないから」の他、「遺された遺族がうまくやってくれるだろう」と、遺族任せの意識も強いという結果となっています。
他方で、 60歳以上の相続経験者の2割がトラブルを経験しており、「兄弟姉妹とのトラブル」がトップとなっています。ただ、 自身に万が一のことがあっても、相続トラブルはないだろうと考える人が8割というように非常に楽観的ではありますが、 親以上に、子世代は兄弟間のトラブル発生を懸念しているとの結果もあります。
以上のような結果にもかかわらず実際に遺言の用意をしている人たちは数少ないという非常に矛盾した結果となっています。
では実際に遺言をどのように作成していったらいいのでしょうか。
まずは資産の棚卸を
遺言を作成する前にご自身の資産の棚卸をしてみましょう。
預貯金、有価証券、投資信託、保険などの金融商品、それと不動産などのプラスの財産だけではなく、債務などのマイナスの財産もです。
有価証券などは証券会社から送付される有価証券報告書などをもとに金額を知ることはできますが、不動産については固定資産税の評価額だけではなく、一度不動産会社に依頼して査定をしてもらってもいいでしょう。
その中で今後の人生でどれくらいご自身にお金が必要かまずは人生計画を立ててみるのはいかがでしょうか。
そして、余剰の財産については残されたご家族のために遺言で分け方を指定してあげるということも考えてみてはいかがでしょう。
遺言の方式に則らなければ無効
遺言は人生最後の意思表示だと言われますが、書き方ひとつで遺言が無効になることもあります。
まずは、遺言として認められる形式的な要件を必ず備えておかなければなりません。
遺言として認められるためには全文を自筆で書く(ただし遺産目録は自筆でなくても可)、日付を正確に年月日まで書く、正確な訂正方法で書く、など正確に遺言の要件に沿ったように書いていかなければなりません。
遺言の形式を満たさなければ遺言として認められなくなってしまいますので、反対に遺言を残したことで禍根を残す結果となることもあります。
ですので、自筆で書くにしても専門家のアドバイスを受けるか、公正証書で遺言を作成することをお勧めします。
自筆証書遺言も法務局で保管してもらえることにより、家庭裁判所での検認手続きを受けなくてもよいということになりましたが、公証人に遺言内容について相談し、意思確認をしてもらったうえで遺言を作成したほうが残されたご家族は安心です。
せっかく遺言を残すのであるならばぜひとも完璧な形式で遺言を作成してください。