相続手続きで困ること③ ~相続人の中に認知症の人がいる~

今回も相続手続きで困ることについて解説していきます。

今回は相続人の中に認知症の人がいる場合について解説していきます。

 

相続人の中に認知症の人がいると何が困る?

相続人の中に認知症の人がいると相続手続きがなかなか進みません。認知症の方がいると意思表示をすることができないため、遺産分割協議が成立しません。

また、金融機関の複雑な書類に記入することも難しいでしょう。

相続人の中に認知症の方がいるケースは?

相続人の中に認知症の方がいるケースはどのようなケースが多いか解説します。

まず多いのが配偶者が認知症になっているケースでしょう。配偶者は被相続人と年齢が近く、高齢となっている場合が多くあります。ただし、銀行の実務では意思表示がすることが難しくても、相続人である子ども全員が相続放棄し、配偶者が相続することを認めれば相続手続きを完了させることは難しくありません。

一方で、本当に困るのは兄弟姉妹が相続人のケースです。配偶者がいる場合は財産の多くを配偶者が相続するケースがほとんどですが、兄弟姉妹の中に認知症になっている方がいると手続きが滞ることが多いです。

被相続人名義の財産で生活していた場合は早くお金を出せる状態にしないと生活に困窮する可能性もあるため、手続きを早く進める必要があります。

相続人の中に認知症の人がいるケースの対処法は?

相続人の中に認知症の人がいるケースでは、通常の手続きに加えて、認知症の人の代わりに意思表示をする人を選定する必要があります。その方法としては2つあります。

一つ目の方法は特別代理人を選定する方法です。家庭裁判所に申請し、相続手続きに関する特別代理人を選定します。他の相続人は利益相反しますので、特別代理人になることはできません。弁護士や司法書士など法律の専門家に依頼することが多くなります。

もうひとつの方法が成年後見人の手続きをするという方法です。成年後見は相続手続きだけでなく、あらゆる法律行為をすることができる法定代理人です。

成年被後見人が不要な契約をした場合にも取り消すことができますので、今後の生活のことを考えて成年後見人の手続きをしておいてもよいでしょう。

ただし、成年後見人の手続きをすると、毎年家庭裁判所に生活費の使用状況などを提出するなど負担も大きくなりますので注意が必要です。

特別代理人の手続きや成年後見の手続きは時間がかかりますので、通常の相続手続きよりも早めに準備をする必要があります。