この記事では遺言書を自分で作る際の注意点を説明します。
一般の方が間違いやすい点を挙げていきますので、参考にしてみて下さい。
遺言書を作る際の注意点
遺言書は法律で定められた方式に沿って作らないと、無効になってしまいます。
良く使われる遺言書の形式としては、公正証書遺言と自筆証書遺言があります。
公正証書遺言は公証役場で作成する遺言書になります。
そのため公証人という法律のプロの方の目が入りますので、特段気にせずとも、法的に無効になるような遺言書になることは、ほとんどありません。
注意すべきは自筆証書遺言です。
自筆証書遺言は、遺言者本人が自筆で作っていくものになります。
そのため、法律家の目が入っていませんので、意図した効果が発生しない遺言や、そもそも無効になってしまう遺言が作られる可能性が高くなります。
自筆証書遺言作成のポイント
・全文自筆で作成
・日付、署名、押印
上記が自筆証書遺言作成の絶対条件です。
どれか一つでも欠けていると、無効になります。
妻にすべての財産を相続させる自筆証書遺言の例文
遺言書
私山田太郎(昭和22年2月2日生)は妻山田花子(昭和24年5月5日生)にすべての財産を相続させる。
令和2年5月5日 山田太郎 印
上記の文言を遺言者本人の山田太郎さんが、全文を自筆で記入して、印鑑を押せは遺言書として有効になります。
失敗例
・日付がない、もしくは日付を特定できない
※令和2年5月吉日など
・押印がない
※印鑑は実印でなくても、問題ありませんが、実印で押す方が良いでしょう。
・パソコンで入力してしまう
※手書きだと間違えてしまうからと、パソコンで入力した書面に、押印などしても、無効になってしまいます。
上記の条件をクリアーした上で、失敗例を説明していきます。
遺言書の失敗例
・道徳的な文言だけの遺言
失敗例:お母さんの生活をしっかり支えて、兄弟仲良く暮らしていくこと。
月に1回は母さんの様子を見に、実家へ行くこと。
父さんはお前たちと一緒に暮らせて幸せでした。
上記の様な文は遺言書の中に記載することは問題ありませんが、財産をどのように分けるのかなどの記載が一切ないので、遺言書として機能しませんので、注意が必要です。
・不動産の特定の仕方の間違い
失敗例:神奈川県○○市○○4-5-3の自宅を妻に相続させる
不動産の特定を住所でしてしまった例です。
不動産の名義変更(相続登記)をするには、不動産登記簿に記載されている地番(土地)や家屋番号(建物)で特定する必要があります。
場所によっては、隣地の不動産と同住所という可能性もあります。
このような記載の仕方だと、遺言書通りの相続登記が出来なくなる可能性があります。
※遺言書全体の意図から相続登記もできるケースもあります。
・私道が漏れているケース
上記のケースで説明したとおり、しっかりと不動産登記簿通りに不動産を特定したけど、敷地前の私道にも持分を持っていた場合などです。
一戸建ての例ですと、通常土地と建物だけだと考えてしまいますが、実は自宅前の道路も近隣の住宅と共に、私道を持分で所有しているケースがあります。
この場合私道の記載がないと、私道部分は遺言書通りに相続登記ができず、私道部分だけ、相続人全員で遺産分割協議をする必要が出てきてしまいます。
・相続人以外に相続させてしまうケース
失敗例:長男の妻である○○に、○○銀行○○支店(普通)1234567の預金を相続させる。
同居して、長男と一緒に自分のお世話をしてくれた、義理の娘である、長男の妻に一定の財産を残してあげたい時の様な場合です。
他にも孫に教育資金として、一定の財産を残してあげたい場合に、失敗してしまう例です。
間違い箇所は太字になっている「相続させる」の文言です。
この文言を使えるのは相続人に対してだけです。
長男の妻や、孫(息子は生きている場合)は相続人になりません。
なのでこの場合は「遺贈(いぞう)する」と記載します。
遺言で贈与するという意味です。
遺言を作るとなると、どうしても相続させるという風に考えてしまうのが、通常だと思いますが、相続人以外に財産を残す場合は注意が必要です。
まとめ
遺言書を作る一番の理由は、遺産分割協議をしないようにして、相続人間での争いを無くすことです。
そして自分の財産を大切な家族のために残してあげることです。
その為には面倒ですが、ルールに沿った記載方法が必要になります。
このブログでも、読んで頂いた方の役に立つ内容を今後も発信していきますので、参考にしてみて下さい。