相続税は亡くなられてから10か月以内に申告と納付をしなければなりません。
相続税の納税は原則として現金でする必要があります。
物納は簡単にできる??
不動産や有価証券等で納税する物納という手段もありますが基本的に物納は無理だと考えていたほうがよいでしょう。
延納によっても金銭で納付することを困難だというような特段の事情がある場合に納税者の申請により、その納付を困難とする金額を限度として一定の相続財産による物納が認められています。
つまり非常に限定的であるといえます。
また、物納ができる順番も法律に定められています。
<第1順位>
1 不動産、船舶、国債証券、地方債証券、上場株式等(特別の法律により法人の発行する債券および出資証券を含みますが、短期社債等は除かれます。)
2 不動産および上場株式のうち物納劣後財産に該当するもの
<第2順位>
3 非上場株式等(特別の法律により法人の発行する債券および出資証券を含みますが、短期社債等は除かれます。)
4 非上場株式のうち物納劣後財産に該当するもの
<第3順位>
5 動産
となっています。資産価値が高く現金化しやすいものから物納が許されます。
このように物納は簡単ではなく、納税資金を生前にきちんと準備することが必要です。
相続税対策はお早めに
ただ、生前と言ってもただ生きていればいいというわけではありません。高齢になればなるほど、認知症などになる可能性が高くなり、認知症になってしまえば簡単に売却することができないからです。
つまり、認知症になり判断能力がないと認められると家庭裁判所に成年後見人の申し立てをする必要があり、成年後見人等の関与及び家庭裁判所による監督のもと財産管理をする必要がでてきます。
不動産などの高額な資産を売却するには家庭裁判所への相談が必須となり、居住用の不動産の売却である時には家庭裁判所へ許可の申し立てが必須となります。
また、家庭裁判所の現在の監督方針では基本的に財産管理については現状維持という点を一番に考えています。そして、納税資金対策で不動産を売却したいといっても「相続税の納税はあくまで本人のためではなく相続人のためですので認めない」という考えをされる場合があります。
ご自身で生前、特に元気なうちから、相続税がいくらくらいかかるのか、そしてそれを納税できる資金があるのかどうかをシミュレートすることが相続人のためにも有用であると思えます。
いざ、判断能力がなくなってしまえば相続対策は行うことができないと思ってください。すべては早め早めの準備により相続人も笑顔で故人を偲ぶことができるのではないでしょうか。