遺言執行の手続き~不動産~

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遺言の中で遺言執行者が選任されている場合があります。

遺言執行者は特段資格が必要とるわけではありませんが、多くの場合、弁護士や司法書士、行政書士などの専門家や銀行などの金融機関が選任されています。

 

また遺言執行者は遺言者の死亡後、家庭裁判所に申し立てることにより選任されることもあります。

 

今回は不動産を処分して相続人に分配するよう遺言に書かれていたケース(いわゆる清算型遺言)で遺言執行者が選任されていなかった場合と選任されていた場合と説明します。

 

遺言執行者が選ばれていない場合

 

遺言執行者が選ばれていない場合、相続手続きは法定相続人が協力して法定相続人全員名義に相続登記を行うこととなります。

 

そして、不動産を売却するにあたり法定相続人全員が売主になりますので、法定相続人全員で売買契約書に署名捺印、あるいは特定の相続人に売却手続きを委任することとなります。

 

つまり、①相続登記→②売買に基づく所有権移転登記と二つの手続きが必要となり、そのすべての手続きに相続人全員が参加する必要があります。

 

遺言執行者が選任されている場合

 

遺言執行者が選任されている場合でも登記手続きとしては①相続登記→②売買に基づく所有権移転登記とかわりはありません。

 

しかし、すべての手続きを遺言執行者が代理人として行うことができます

 

つまり、遺言執行の手続きとして不動産の相続手続きも、売却にかかる売買契約の手続きも、さらに売却に伴う買主への所有権移転登記もすべて遺言執行者が相続人の代理人として行うことが可能です。

 

したがって、相続人が面倒な手続きに追われるということがありません。

 

まとめ

 

相続人が子だけで3名程度でしたら遺言執行者を選任していなくても手続きもスムーズにいく可能性が高いとはいえ、兄弟間の仲を考えると不安な点が出てくる人もいるでしょう。

 

また、子もなく、親もいない場合で兄弟姉妹が相続人になる場合など、相続人が多数に及ぶケースは遺言執行者を選任していたほうがいいでしょう。

 

特に高齢化社会である現在では相続人も高齢化しており、認知症の問題、あるいは、相続人がすでに亡くなっていて代襲相続が発生し被相続人からみれば甥姪も含むケースだと相続人が10名以上となることもまれにあります。

 

いずれにしても清算型の遺言を活用する場合には専門家を遺言執行者に選任しておいたほうが手続きはスムーズにいくことが多いといえます。

 

証券会社での遺言執行手続き

 

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遺言が残されている場合に、遺言の中で「遺言執行者」が選任されている場合があります。

 

最近は銀行や各証券会社でも株式の購入や投資信託、外貨預金などをされている方が数多くいらっしゃいます。

 

今回は前回に引き続き、遺言にて遺言執行者が選任されている場合における証券会社での手続きについて解説します。

 

 

証券会社での相続手続き

 株式などの有価証券や投資信託、外貨預金などが遺産にある場合、遺言執行者は証券会社に対しおおむね以下の順番で手続きをしていきます。

 

  • 金融機関へ連絡
  • 遺言書の交付
  • 書面作成
  • 証券口座の作成
  • 遺産の分配

金融機関への連絡

今回も検認手続きは終了している、あるいは公正証書遺言で作成されておりそもそも検認手続きが必要ないことを前提とします。

 

証券会社には口座名義人が死亡しており、また資産を凍結してもらいたい旨の連絡をします。

 

普通預金口座などと異なり、相続財産が凍結されて困ることはないので、早々に連絡をして必要な書類をいただきましょう。

 

また、証券など価値が変動する場合は遺産の価格の算定が難しいので、各証券会社に対して、死亡日の残高証明の請求をしたほうが資産の把握によりよいでしょう。

 

遺言書の交付

金融機関に遺言を交付します。遺言に遺言執行者として記載されていれば遺言だけですみますが、そうではなく、被相続人が死亡後に家庭裁判所に遺言執行者として選任されている場合はその旨の審判の謄本も必要となります。

 

相続人全員の代理人である旨の資格がきちんとあるということを金融機関に対して知らしめるということです。

 

書面作成

証券会社に対する手続きも、書面は異なるもののおおむね銀行手続きと書類は同じです。

 

記載の方法や必要書類等は各金融機関によって微妙に異なりますのでそのたびに金融機関に確認されることをお勧めします。

 

遺言のほか必要な書類として

・被相続人の死亡記載のある戸籍

・相続人の戸籍

上記2点にかえて法定相続情報

・遺言執行者の印鑑証明書

などです。

 

証券口座の作成

銀行と異なり、証券会社では各種遺産を受け取る人それぞれにその証券会社での取引口座の作成を求められるケースが多いといえます。

 

証券等を現金化して分配するといった清算型の遺言であった場合でも遺言執行者名義での取引口座を求められることもありますので証券会社と相談してなるべく手間がかからない方法を選択されたほうがいいかと思います。

 

おわりに

今回は遺言執行者の職務のうち、証券会社への有価証券などの手続きについて説明しました。

 

預貯金とは異なり、銀行より手続きや作成書類(口座作成書面など)は若干複雑ですので、根気よく手続きを進めていく必要があります。

 

ご自身の手には負えないと考えた場合は無理せず専門家のサポートを受けられることも視野に入れてみてはいかがでしょう。

 

銀行等での遺言執行手続き

 

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遺言が残されている場合に、遺言の中で「遺言執行者」が選任されている場合があります。

 

銀行の商品である「遺言信託」などでは金融機関が遺言執行者として選任されている場合もありますし、弁護士や司法書士、行政書士などのいわゆる士業の方々が選任されている場合もあります。

 

遺言執行者とは相続人の代理人であり、遺言の中で預貯金や証券などの解約や分配、不動産の相続登記、売却手続きなどの権限が与えられていることがほとんどです。

 

遺言執行者が選任されている場合、遺言執行者に選任されていたものが就任を承諾すると遺言執行者が手続きの代理人として各金融機関などと連絡を取り実際の手続きを進めていくことになります。

 

預貯金の相続手続き

 

預貯金等が遺産にある場合、遺言執行者は各金融機関に対しおおむね以下の順番で手続きをしていきます。

 

  • 金融機関へ連絡
  • 遺言書の交付
  • 書面作成
  • 遺産の分配

 

金融機関への連絡

遺言執行手続きとして自筆証書遺言で作成されて検認手続きが必要な場合、まずは家庭裁判所へ遺言書の検認の申し立てをしなければなりません。

今回は検認手続きは終了している、あるいは公正証書遺言で作成されておりそもそも検認手続きが必要ないことを前提とします。

 

金融機関へまずは預金者が死亡しており、また資産を凍結してもらいたい旨の連絡をします。

 

預金が凍結されると預貯金の引き出しや口座引き落としもできなくなるので、相続人から通帳を預かり必要な引き落としなどが終了されているか確認できてから連絡をしたほうがいいでしょう。

 

 遺言書の交付

金融機関に遺言を交付します。遺言に遺言執行者として記載されていれば遺言だけですみますが、そうではなく、被相続人が死亡後に家庭裁判所に遺言執行者として選任されている場合はその旨の審判の謄本も必要となります。

 

相続人全員の代理人である旨の資格がきちんとあるということを金融機関に対して知らしめるということです。

 

書面作成

金融機関に手続きに必要な書類一覧とともに手続きに必要な金融機関提出用の書面をいただきます。

 

記載の方法や必要書類等は各金融機関によって微妙に異なりますのでそのたびに金融機関に確認されることをお勧めします。

 

遺言のほか必要な書類として

・被相続人の死亡記載のある戸籍

・相続人の戸籍

上記2点にかえて法定相続情報

・遺言執行者の印鑑証明書

などです。

 

遺産の分配

上記の金融機関用の提出書類に遺産の分配方法に従って記載をしていきます。遺言の記載にもよりますが、「たとえばA銀行の預貯金は相続人甲へ」となど記載されていれば相続人の甲の銀行口座へ直接A銀行より振り込んでもらうことも可能です。

 

また、遺産の分配の方法が上記のように具体的に決まっていなくて、「甲が2分の1、乙と丙が4分の1」などのように割合だけが指定されている場合は、遺言執行者の預り金口座などを作成してその口座にすべての金融機関の預貯金を集約して分配することなども可能です。

 

 

おわりに

今回は遺言執行者の職務のうち、銀行等への預貯金の手続きについて説明しました。

 

遺言執行者に選任されていてもすべてを自分自身でしなければならないわけではありません。専門家へ遺言執行の補助を依頼することなども可能なケースもあります。

 

【種類別】遺言書を見つけたときの対処法

前回の記事では、遺言書を勝手に開封した場合の過料などについて解説をしました。

 

では、実際に遺言書を見つけたときはどうすれば良いのでしょうか。

まず行うべきは遺言書の種類の確認です。
自筆で書いた自筆遺言証書なのか、公証人が作成した公正証書遺言なのかを確認しましょう。

 

自筆証書遺言の場合は、基本的には遺言者自身で保管するので、自宅に保管したり弁護士など専門家に預けているケースが多いようです。
もしくは、法務局の保管制度を利用している場合もあります。

 

公正証書遺言の場合は、公証役場で原本が保管されています。

それぞれの遺言書の種類によって対処法が異なりますので順番に解説していきたいと思います。

 

なお、秘密証書遺言はほとんど作成されることはありませんが、相続の進め方は自筆証書遺言と同じようになります。

 

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【種類別】遺言書を見つけたときの対処法

自筆証書遺言を見つけたとき

すでに見た通り、自筆証書遺言が封筒に入っている場合は勝手に開けてはいけません。裁判所の検認手続きの前に開封すると、5万円以下の過料に処せられる可能性があります。

 

遺言書が封筒に入っていない場合は、内容を見るかどうかは自由です。

 

家庭裁判所での検認手続き

自筆証書遺言の場合は、遺言者の最後の住所地の家庭裁判所に申し出て検認を行います。

検認の申し出には下記の書類が必要です。

  • 検認手続きの申立書
  • 遺言者の出生から死亡までの戸籍謄本(除籍謄本)
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 遺言者の子供が亡くなっている場合はその子供の出生から死亡までの戸籍謄本(除籍謄本)
  • その他裁判所が提出を求めた書類

 

上記書類の収集には時間がかかりますし、申し立てから実際の検認の期日までにも大体2週間から1か月程度の時間がかかります。

遺言書を見つけた場合には速やかに手続きに取りかかるのが良いでしょう。


検認は遺言の無効、有効を判断するわけではない

検認では遺言書の現状を確認します。

あくまでも一種の証拠保全手続きであり、遺言書の内容について判断するものではありません。
したがって、検認を受けたからといって、遺言の内容が有効となるわけではありません

 

有効か無効かが問題になる場合は、最終的には裁判で争われ裁判官が判断します。

 

遺言書が無効となった場合には、相続人全員で遺産分割協議を行うことになります。この協議の際に、無効となった遺言を参考にするかどうかは相続人に任せられています。

 

遺言書の内容を実行する

検認を受けた後は、遺言に基づいて遺産を分割し、不動産や預貯金の名義変更手続きを行っていきます。
その手続きの際には、遺言書と検認証明書が必要です。

 

もし相続手続きに協力しない相続人がいる場合は、弁護士など専門家に相談すると良いでしょう。

 

公正証書遺言を見つけたとき

では、見つけた遺言書が公正証書遺言だった場合はどうすれば良いのでしょうか。

この場合の相続手続きはスピーディ、スムーズに進めることができます。
実際の手順は以下のようになります。

 

裁判所の検認を受けずに開封できる

公正証書遺言は家庭裁判所の検認は不要です。
そのため、自筆証書遺言にくらべて手間と時間をかけずに、すぐに相続手続きに取りかかることができます。

 

遺言書の有効性についても問題になることはまずないはずです。
公証人が作成しているため、様式面での不備があるとはあまり考えられません。通常はそのまま遺言を実行できます。

 

また公正証書遺言の場合は、公証人と証人2人の立ち合いのもとで作成されます。
誰かに強要されたのではないかということが問題になりにくく、自分の意思で書いたことも証明されます。

 

遺言書の内容を実行する

遺言書で指定された相続人や受遺者が、金融機関や法務局で相続手続きを行っていきます。
その際には遺言書の原本を持参しましょう。

遺言執行者が遺言書で指定されている場合は、その人が相続人を代表して手続きを進めることになります。

 

自筆証書遺言と違い、公正証書遺言は公証役場で謄本を発行してもらえます。これは手続きを進めるうえで大きなメリットです。

 

自筆証書遺言は原本が1通しかないので、相続手続きの際に金融機関ごとにその1通を使い回すことになります。
公証役場で謄本を何通か発行してもらっておけば手続きをスピーディに進めることができます。

 

遺言書の検認に関するよくある疑問

裁判所での遺言の検認などは、人生の中で何回も経験することはないと思います。そのため予備知識がなく、疑問に思うことも多くあるでしょう。

ここでは、検認に関するよくある疑問にお答えしていきます。

 

封印していない自筆証書遺言も検認が必要か?

場合によっては、封筒に入れていない裸の状態の遺言書やメモのような遺言書が見つかることもあります。
このような封をしていない遺言書でも検認が必要です。

検認は、遺言書が存在していたことを確認し、検認した後の偽造や改ざんの防止を目的として行うものだからです。

たとえ相続人全員の同意があっても勝手に開封してはいけません。また、誤って開封してしまった遺言書も当然ながら検認手続きが必要です。

なお、2020年7月に開始の制度を利用して法務局で保管されていた自筆証書遺言の場合、検認は必要ありません。

 

相続人全員の立ち合いが必要か?

これは必要ありません。

相続人全員に立ち合いの機会を与えることになっていますが、実際に立ち会うかどうかは各相続人の判断に任されています。
高齢や遠方に住んでいるため、当日立ち合いが難しいケースも考えられます。

検認の当日、相続人全員が集まらなかったとしても検認は行われます。ただし、検認を申し立てた人は出席しなければいけません

 

検認の費用は?

費用については、遺言書1通に収入印紙800円分と決められています。
別途、申立人と相続人に連絡する切手代が必要となります。

 

自分が作成した遺言書を開封されないようにする方法

遺言書の作成を検討中の方は、遺族がスムーズに相続手続きを進められるような形で遺言書を遺しておくことをお勧めします。

 

一番良いのは公正証書遺言です。
公証人が作成するので安心、確実で検認の必要もありません。また、公証役場に原本が保管されるので紛失や改ざんの心配もありません

 

とはいえ、手軽に作成できる自筆証書遺言を選ばれる方もいることでしょう。その場合は、遺族が見つけた際にうっかり開封してしまわないような対策を取っておきましょう。

 

封筒に「開封禁止」と記入する

封印は下記のような手順で行います。

  1. 遺言書を封筒に入れてのり付けする。
  2. 封をした部分に遺言書に押したものと同じ印鑑を押す。
  3. 封筒の表側に「遺言書」と書く。
  4. 封筒の裏側に「本遺言書は私の死後、開封せずにすみやかに家庭裁判所に提出してください」などと書き、日付と署名を自書してから押印する。

封印は必ずしもしなければいけないわけではありませんが、遺言内容の秘密保持、変造、改ざんを防ぐ観点からしておくのが最善でしょう。

その際には上記手順で行い、遺族が誤って開封してしまうことがないよう対策を施しておきましょう。

 

遺言書を二重の封筒に入れる

もう1つの対策方法は、遺言書を二重の封筒に入れることです。

1つ目の封筒を開けたときにすぐ見つけられるような用紙かメモを入れておきます。

 

そしてそこに、「開封する前に家庭裁判所で検認手続きを行うこと」と注意書きをしておくと、見つけた人がそれ以上開封するのを防げます。

遺言書を勝手に開封すると過料(罰金)5万円!

人生で実際に遺言書を発見する機会はそうそうないはずです。
しかし、だからこそ、自分がいざそのような事態に遭遇したときどうすれば良いのか迷うものです。

 

遺言書を見つけた後、何か特別な手続きが必要なのでしょうか。
勝手に開封してしまった場合の罰則はあるのでしょうか。あるとすれば実際に科せられるのはどれほどでしょうか。
意外とこうした点は知られていません。

 

それでここでは遺言書を見つけたときに焦らないために、また誤って開封してしまっても動揺しないために、必要な対処法を解説していきたいと思います。

 

また、遺言書作成時に勝手に開封されないようにするための対策についても説明します。

 

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遺言書を勝手に開封すると5万円以下の過料

遺言書は勝手に開封してはいけません。

民法では、自筆遺言証書と秘密証書遺言に関して、勝手に開封してはいけないと定められています。もしこれを破ると5万円以下の過料(罰金)が科せられる可能性があります。

少し想像してみて下さい。
あなたの兄弟が、亡くなったお父さんの遺言書を見つけたと言って遺言書を持ってきたとします。

 

遺言書を見てみると既に開封されています。しかも、内容は兄弟にとってかなり有利で、あなたにはほとんど相続財産はありませんでした。
これだと遺言書の内容が本当にお父さんの意思なのか、疑いたくなってしまうのではないでしょうか。

 

なぜだれもいないところで勝手に遺言書を開けてしまったのでしょうか。お父さんは本当にそんな内容の遺言を遺したのでしょうか。
色々と不信感がわいてきます。それでも、亡くなった本人にもはや意思を確認することはできないのです。

 

こうなると色々とトラブルを招く結果になってしまいます。
そこで民法では、上述のように相続人が勝手に遺言書を開封するのを禁止し、過料まで定めているわけです。

 

とはいえ、実際に過料(罰金)が科せられることは大変まれです。
それでも他の相続人の不信感を招くことになってしまうので、開封のための所定の手続きを取るように致しましょう。

 

裁判所で遺言書の検認が必要

遺言者の死後に遺言書を見つけたら、自筆証書遺言、秘密証書遺言の場合は速やかに家庭裁判所で検認の手続きをしなければいけません。
公正証書遺言の場合は、この検認は必要ありません。

 

検認の際には、家庭裁判所が遺言書の形状、加除訂正、日付、署名、押印などの状態を確認します。
確かに遺言者の遺言であることを確認し、遺言内容を明確にして遺言書の偽造や改ざんを防止するわけです。

 

遺言書の検認は客観性、公平性を保つために相続人全員に立ち合いの機会を与えることになっています。
とはいえ、実際には相続人が遠方にいる場合もあるため、立ち合いは各人の判断に任せられています。

 

遺言書を開封しても効力は失われない

では、見つけた後にうっかり遺言書を開封してしまったらどうなるのでしょうか。
この場合、遺言書は無効になってしまうのでしょうか。

実は、遺言書をうっかり開封してしまったとしても直ちに遺言書が無効になるわけではありません
遺言書自体の効力には影響はないわけです。

 

もし、開封することで直ちに無効になるのであれば、あえて遺言書を開封して無効にしようとする人も出てくるでしょう。
開封することで、自分に不利な内容の遺言書を故意に無効にしようとする人がいるかもしれません。

 

そこで、誤って開封してしまった場合でも、直ちに過料が科せられたり遺言書が無効になったりすることはありません。

もちろん開封してしまった場合でも裁判所の検認手続きは必要です。速やかに、できれば他の相続人と一緒に検認手続きを進めましょう。

 

遺言書の偽造、変造、破棄、隠匿は相続人の権利を失う

万が一、開封してしまった遺言書の内容が自分に不利だったために、見なかったことにして遺言書を隠した場合はどうでしょうか。
この場合は重大なペナルティが科せられることになります。

 

民法では、法定相続人であっても遺言書を偽造したり破棄、隠匿した場合は、相続人としての権利を失うと定められています。

 

遺言書をうっかり開封してしまった場合は動揺してしまうかもしれません。しかし、再びのり付けしたり封印を細工したりすることは絶対に避けましょう。
最悪の場合は、上記の通り相続欠格者として相続の権利を失うことになりかねません。

 

開封してしまっても直ちに過料が科せられるわけではありませんので、他の相続人に説明するとともに、速やかに家庭裁判所での検認手続きを行いましょう。

 

 

相続登記を自分で行う場合のメリット・デメリット

前回の記事では相続手続きを自分で行う方法について解説しました。

 

今回は相続登記を自分で行う場合のメリット・デメリットを詳しく解説し、相続手続きの中でも専門家にまかせた方がよい手続きは何か、紹介したいと思います。

 

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相続登記を自分で行う場合のメリット・デメリット

相続手続きを自分でするかどうかを決めるには、自分で行う場合のメリットとデメリットを洗い出して比較することがポイントのひとつです。


ここでは、相続手続きを自分でするメリットとデメリットについて説明します。

 

相続手続きを自分でするメリット

相続手続きを自分でするメリットは「費用負担を軽減できること」です。

 

相続手続きの中でも不動産の名義変更(相続登記)は法律の知識を要する手続きです。


金融機関の預金などの相続手続きはできても、不動産の相続手続きは難しいため挫折するというケースが少なくありません。

 

そのため、不動産の相続手続きについては、司法書士などの専門家に依頼して手続きを代理してもらうのが一般的です。

 

ただ、司法書士に不動産の相続手続きを依頼すると、司法書士に支払う報酬が必要になります。


自分で相続手続きをする場合には、司法書士に支払う報酬がなくなるため、相続手続きにかかる費用負担を軽減できます。

 

弁護士や税理士などに相続手続きを依頼する場合も、相続手続きのボリュームや依頼内容に応じて報酬が発生します。

 

自分で相続手続き全般をこなせば、弁護士や税理士といった専門家に支払う報酬も発生しません。

 

相続手続きを自分でするデメリット

相続手続きを自分でするデメリットはふたつあります。
ひとつは「時間がかかること」、もうひとつは「手続きミスが起きること」です。

 

相続手続きを自分でする場合、被相続人が契約していたサービスの解約といった比較的簡単な手続きなら自分でも問題なくできるかもしれません。

 

しかし、不動産の相続手続きである相続登記などは法律の専門知識を要するので、法的な知識や実務経験がないと、自分で専門書などを読んでゼロから法律や相続手続きの勉強をしながら進めなければいけないでしょう。

 

そうなると、司法書士や弁護士などの専門家に依頼するより手続きに時間がかかってしまいます。

 

相続手続きの中には相続税申告や相続放棄など、期限が決まっている手続きもあります。

 

自分で相続手続きをすると、書類の準備から手続きまですべて自分で行うため、期限に間に合わない可能性もあります。

 

期限に間に合うに準備を進めるのは手間と時間かかります。相続手続きが私生活を圧迫するというひともデメリットのひとつといえます。

 

相続手続きを自分でする場合は、専門知識や実務経験のなさから、手続きミスを引き起こすことも考えられます。

 

専門家であれば難しい相続手続きにも慣れていますが、個人の場合は専門家のような慣れや知識はありません。

 

そのため、手続きミスで何度も窓口に呼ばれたり、そもそも手続き自体ができなかったりするなどの事態が起きうるのです。

 

専門家にまかせたほうがよい相続手続きとは

自分で相続手続きをせず専門家に相続手続きをまかせた方がよいのは「専門的な知識や実務経験を要する相続手続き」です。

 

不動産の相続登記は、登記情報や戸籍を読む知識が必要になる他、法律の深い知識も必要になります。

 

相続税の申告手続きや、相続人同士でトラブルになったときの遺産分割調停などの裁判所手続きなどは、自分で相続手続きを進めるとミスをする可能性があります。

 

専門的な知識を要する手続きなどは専門家にまかせた方が安全ではないでしょうか。

 

この他には、相続人が見つからない場合や遺産がどこにあるかわからないなど、自分での対処が難しいケースでは専門家を頼る方がスムーズかつミスなく相続手続きが進みます。

 

 

 

相続手続きを自分で行えば、費用がかからないというメリットがあります。

 

しかし、手続きの中には期限が決まっているものもあり、間に合わせるためにはプライベートの時間を取られてしまい、つらいと感じることもあるでしょう。

 

自分で相続手続きをするかどうかはデメリットについて慎重に考えて判断することをおすすめします。

 

専門家に相続手続きを依頼すれば、相続手続きが遅れたり相続手続きでミスすることもなく、スムーズに必要な手続きを終わらせてもらえます。

 

相続が発生したら、まずは専門家に相談してみてはいかがでしょうか。

相続手続きを自分で行う方法

相続手続きは専門家である弁護士や司法書士に依頼する方法と、自分で手続きをする方法があります。

 

相続手続きを自分でするか、それとも専門家にまかせるかどうかは、メリットやデメリットもふまえて決めることが重要です。
自分で相続手続きができそうかどうかも判断ポイントになります。

 

この記事では自分で相続手続きをする方法について解説します。

 

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自分で相続手続きをする方法

相続が発生したらまず何からはじめればよいのでしょうか。

そして、どのように相続手続きを進めればよいのでしょう。

 

自分で相続手続きをするメリットとデメリットを紹介する前に、まずは自分で相続手続きをするときの方法を説明します。

 

自分で遺言書や相続人の調査を行う

相続が発生したらまず遺言書や相続人の調査、遺産の調査をします。

 

被相続人の遺言書があるか自分で探す

被相続人の遺言書がないかを確認します。

遺言書が見つかった場合は、遺言書の種類によっては裁判所の検認手続きを受けなければならないため注意してください。

遺言書が見つかった場合は、基本的に遺言書の内容に沿って相続手続きを行います

 

相続人が誰になるのか戸籍などで調査する

相続人が誰かわからなければ自分で相続手続きができませので、この段階でしっかりと相続人は誰になるのか確認しておくことが重要です。

 

自分で相続人を調査するときは、自治体から戸籍を取得し、被相続人の出生から死まで順に追うという流れで相続人を確認します。

 

相続人が見つかったら、相続手続きに協力してもらえるよう連絡を取っておきましょう。

 

被相続人の遺産を自分で調査する

自分で相続手続きをしようとしても、被相続人の遺産がわからなければ相続手続きのしようがありません。したがって、被相続人の預金や不動産、有価証券など、遺産の在り処などを確認する必要があります。

 

不動産の権利書や預金通帳など、被相続人の遺産につながる情報を見つけて、遺産について確認するという流れです。

 

相続放棄や遺産分割協議などを行う

遺言書の有無や遺産の状況もふまえて相続放棄の検討や遺産分割協議などを行います

 

被相続人に借金が多いときによく使われる相続放棄や、遺産のプラスとマイナスが不明瞭なときなどに使われる限定承認には「相続開始3カ月」という相続手続きの期限が定められているため注意してください。

 

相続人の話し合いで相続財産を分割する場合は、遺産分割協議を相続人全員で行わなければ無効となります。遺産分割協議を終えたら、遺産分割協議書を作成します。

 

自分で相続財産ごとの相続手続きをする

遺産分割協議や遺言の内容に沿って自分で遺産ごとに相続手続きをします。

 

不動産の場合は法務局での相続登記を、預金の場合は金融機関で相続手続きをするという流れです。

 

自分で相続税などの各種相続手続きを行う

自分で相続手続きをする際は、相続税の申告などにも注意が必要になります。

 

相続税はすべての相続ケースで申告が必要になるわけではなく、納税が必要なケースと不要なケースがあります。

 

自分で相続手続きを進める際は、税務署の窓口などに確認しながら申告の要否なども基本的に自分で判断します。

 

相続税の手続きが必要な場合は、遺産の相続手続きとあわせて相続税の手続き準備も行うことになるのです。

 

 

被相続人が利用していたサービスや権利などについても、自分で相続手続きが必要です。

たとえば、スマートフォンなどのサービスや水道や電気などの契約については、相続人などが必要に応じて手続きをすることになります。

【2023年終了】ジュニアnisaの利用時の注意点・相続税対策も使える贈与税の特例を解説

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前回はジュニアnisaは相続税対策に有効なのか、メリットは何なのかということを解説しました。

今回はジュニアnisaの利用時の注意点や相続税対策に使える贈与の特例などをご紹介します。

 

ジュニアnisaを利用するときの注意点

ジュニアnisaには投資の利益が非課税になるなどのメリットもありますが、同時に利用の際に注意したいポイントもあります。

 

注意点に気をつけて使わないと孫や祖父母はジュニアnisaを使ったことを後悔するかもしれません。

 

利用に際しては以下の注意点も理解して、ジュニアnisaの利用がデメリットにならないかよく考えて活用することが重要です。

ジュニアnisa利用の際の注意点は4つあります。

ジュニアnisaは基礎控除の範囲内の贈与である

贈与税には年110万円という基礎控除の枠があります。
基礎控除の範囲内であれば贈与税の課税は原則的にありません。

 

ジュニアnisaの枠は年80万円です。
ジュニアnisaの枠が年80万円あるわけだから、基礎控除と合計して年190万円(贈与税基礎控除とジュニアnisaの枠の合計額)があると思うかもしれません。

 

違います。
ジュニアnisaを使っても贈与の非課税枠が190万円になるわけではないのです。

 

ジュニアnisaはあくまで贈与税の基礎控除110万円の範囲内で行いますので、ジュニアnisaを使えば贈与税の基礎控除枠はジュニアnisaの分だけ減ってしまいます。

 

あくまでジュニアnisaは投資運用の利益が非課税になるという制度です。

 

孫が特に株式や投資信託の運用をしないのであれば、別にジュニアnisaである必要はありません。

 

ジュニアnisaはあくまで贈与税の基礎控除枠を使った贈与である点に注意が必要になります。

 

ジュニアnisa口座は原則的に変更できない

ジュニアnisa口座には金融機関の変更は基本的にできず、口座数にも制限があります。

 

まずジュニアnisaは1人1口座という制限があるのです。
ひとつの金融機関にジュニアnisaの口座を作って「別の金融機関がよかった」となった場合でも、原則的に金融機関や口座を自由に変更できません。

 

ジュニアnisa口座の変更自体は絶対に不可能というわけではないのですが、変更の場合は作成したジュニアnisa口座を閉鎖して別の金融機関に作り直さなければいけません。

 

ジュニアnisa口座を閉鎖すると遡って税金の課税があるため注意してください。

 

すでに運用している投資信託などはジュニアnisaの口座に移管できません。
合わせて注意が必要です。

 

ジュニアnisaでは損失が発生するリスクがある

祖父母が孫に相続税対策として年80万円ずつの贈与を行ったとします。

ジュニアnisa口座を使って投資信託や株式などで投資運用した場合は損失が発生する可能性があるため注意が必要です。

 

株式や投資信託などは値動きします。
投資運用しても必ず元手が増えるわけではなく、反対に減って損をする可能性もあります。

 

ジュニアnisaを使って祖父母が孫に贈与しても、投資運用の状況によってはせっかくの贈与財産が減ってしまい、孫や祖父母にとって残念な結果になる可能性があるのです。

 

ジュニアnisaを使って孫に贈与する場合は、株式や投資信託の価格変動リスクについても理解したうえで行う必要があります。

 

ジュニアnisaは2023年に新規口座開設が終了する

ジュニアnisaは2023年に新規口座開設の終了が決まっています。

 

相続対策として使う場合は新規口座開設終了や今後のジュニアnisa関係のニュースや情報に注意したうえで使う必要があります。

 

ジュニアnisaは20歳になれば一般のnisa口座に移すことも可能です。

 

ジュニアnisa制度終了までに20歳にならない場合でも、そのまま20歳まで非課税のまま所持できます。

 

ジュニアnisa口座新規開設終了にともない手続きが発生する可能性もあります。

 

これからジュニアnisaを相続税対策で利用しようと考えている場合は合わせて注意してください。

 

相続税対策にも使える贈与税の特例

孫子に財産を渡したい場合や相続対策したいケースでは、贈与税の特例と比較してジュニアnisaを使うことが重要です。

 

子供の年齢によってはジュニアnisaが使えない場合や、そもそもジュニアnisaでは贈与額が足りないケースもあります。

 

贈与したい額や相続税対策に望むことや贈与の目的などに合わせて以下のような特例も検討してみてはいかがでしょう。

 

教育資金一括贈与による相続税対策

祖父母や父母などが孫子に教育資金を一括贈与する場合、特例の条件に当てはまっていれば非課税になります。
非課税の枠は最大で1,500万円です。

 

結婚・子育て資金の一括贈与による相続税対策

孫子が20歳以上の場合は結婚や子育てに充てる資金を一括贈与した場合の非課税の特例があります。

 

孫子の結婚や子育てのための費用を一括で贈与した場合は、最大で1,000万円まで贈与税が非課税になるのです。

 

住宅取得資金の贈与による相続税対策

父母や祖父母などの直系尊属から住宅取得を目的とした資金の贈与を受ける場合に使える贈与税の特例です。
住宅取得資金の贈与の特例条件に当てはまっている場合は最大3,000万円までの贈与税が非課税になる特例になります。

 

贈与税の非課税枠を使った相続税対策

ジュニアnisaの相続税対策の仕組みそのものは、生前贈与により相続財産を減らすことによって相続税を減らす、あるいは相続税の基礎控除内に収まるようにすることです。

 

生前贈与により相続財産を減らしたいのであれば特にジュニアnisaにこだわる必要はありません

 

贈与税の非課税枠である年110万円の範囲内で贈与を行うという方法もあります。

 

まとめ

ジュニアnisaは口座内で投資運用した利益が非課税になる制度です。

 

枠は年80万円ですが、この枠は贈与税の非課税枠と別にもらえるわけではなく、贈与税の非課税枠内に含まれます。

 

祖父母が「孫に財産を渡したい」「相続税対策したい」という場合で孫が投資したいなどの事情が特になければ、あえてジュニアnisaでなくてもよいという結論になります。

 

贈与税には相続税対策に使える特例がいくつもあるのです。
専門家に相談のうえで贈与税の特例なども比較検討し、ニーズに合った相続税対策をしてはいかがでしょう。

【2023年終了】ジュニアnisaは相続税対策に有効?メリットは?

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可愛い孫に財産を渡したくても、相続によって相続税が課税されると孫が手にする財産は課税分だけ少なくなります。

 

孫に財産を渡したい祖父母は「何か相続税対策になる方法がないだろうか」と思うのではないでしょうか。

 

そして、よく相続税対策になるという話を耳にするジュニアnisaはどうなのだろうかと思うのではないでしょうか。

 

ジュニアnisaは本当に相続対策になるのでしょうか。
ジュニアnisaにはどのようなメリットがあり、使う際にどのようなことに注意すればいいのでしょう。

 

ジュニアnisaついて2回に分けて説明していきます。
今回はジュニアnisaが相続税対策になるかどうかなど基本的な疑問にお答えするとともに、メリットは何なのか?ということを紹介します。

 

ジュニアnisaは相続税対策になるが注意が必要

ジュニアnisaとは未成年が「投資の利益が非課税になる投資用口座を開設する方法」です。

 

株式などに投資をすると利益に対して約20%の課税が行われます。
ジュニアnisaで開設した口座で投資することにより利益に対する税金が非課税になるという仕組みです。

 

ジュニアnisaの口座を開設するのは基本的に未成年(口座開設する年の1月1日時点で0~19歳の子供)ですが、2親等内の親族がジュニアnisa口座の代理運用者になることが可能です。

2親等内の親族とは親や祖父母などのことです。

 

ジュニアnisaにお金を出すことで祖父母は孫に財産を贈与できます。
ジュニアnisaでの投資運用の資金を祖父母が孫に贈与することで相続税対策としても使えるのです。

相続対策になる仕組みは「ジュニアnisaのメリット」の見出しで詳しく説明します。

 

また、祖父母と孫がジュニアnisaを使って相続税対策することには他にもメリットがあります。

 

しかし、同時にジュニアnisaは贈与税の非課税枠である110万円に含まれているだけなど利用に際しての注意点もあるのです。

 

ジュニアnisa利用の際は注意点に留意する必要があります。
ジュニアnisaのメリットと利用の際の注意点について順番に説明します。

 

ジュニアnisaのメリット

まずはジュニアnisaのメリットについて説明します。
ジュニアnisaの利用には孫と祖父母に4つのメリットがあります。

 

ジュニアnisaは相続税対策に使える

ジュニアnisaの第一のメリットが「相続税対策に使える」という点です。
たとえば祖父母の財産が相続税の非課税枠より多かったとします。

 

相続税の非課税枠を出てしまうと基本的に相続税の課税対象です。
生前贈与など何らかのかたちで相続税対策をしなければ、相続人などに渡せる財産がその分だけ少なくなってしまいます。

 

このようなときにジュニアnisaによる相続対策が考えられるのです。

 

ジュニアnisaは年間80万円まで非課税の枠があります。
祖父母が孫にジュニアnisaの非課税枠である80万円を毎年渡すことで相続財産を減らせます。

 

相続財産が減ればその分だけ相続税の課税対象が減るわけです。
結果、相続対策になるという仕組みです。
このようにジュニアnisaによって相続税対策ができるというメリットがあります。

 

ジュニアnisaは運用益が非課税になる

ジュニアnisaは投資運用の利益が非課税になる口座です。

祖父母が孫に贈与した年間80万円までの資金で孫が株式などに投資したり、投資信託を運用したりすることで得られる利益が非課税になります。

 

ジュニアnisa以外の口座で孫が投資運用するよりも税金面で孫自身にもメリットがあるのです。

 

ジュニアnisaは投資運用なので資産が増える可能性あり

ジュニアnisaは株式や投資信託の運用に使う口座です。

 

祖父母が年80万円贈与する資金を孫が株式投資や投資信託運用などに使うことで元手を増やせる可能性があります。
孫が投資や金融の知識に触れるきっかけにもなるはずです。

 

ジュニアnisaの活用により孫への積立ができる

ジュニアnisa口座に入っているお金には引き出しの制限があります。

 

制限があることによってジュニアnisa口座の資金は「プールできるが引き出せない」という性質のお金になるのです。

 

引き出しが容易ではないため、ジュニアnisaを通じて孫の将来のための資金積立ができるというメリットがあります。

再婚している人の相続は要注意!

今回は再婚している場合や、再婚している親がいる場合の注意点を説明していきます。

 

前婚時にお子さんがいた時の注意点

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このブログでも何度も書いていますが、遺言書がない場合は、相続が発生した際、相続人全員での遺産分割協議になります。

 

では再婚をしている時の注意点はなんでしょうか?

 

再婚と言っても様々パターンがあるので、パターン別に開設していきます。

 

・前妻との間に子供がいて、離婚して、親権は前妻が持っている場合

 

男性が再婚して、現在の妻との間に子供ができた場合、相続関係はどうなるでしょうか?

 

男性の相続人:現在の妻、現在の妻との子供、前妻との間の子

 

上記の様になります。

 

この場合どこが大変か分かりますでしょうか?

 

何度もお伝えしていますが、遺産分割協議は相続人全員で協議をしないと成立しません。

 

このパターンですと、現在の妻と、現在の妻との子、そして前妻の妻との間の子供で遺産分割協議をしないといけません。

 

仮に前妻との子との間でも交流があれば良いですが、子供が小さい頃などに、離婚していて、もう何十年も会っていない可能性なども充分に考えられます。

 

そんな関係でも遺産分割協議をしないと、相続手続きが進まなくなってしまいます。

 

相続手続きが進まないということは、住んでいる持ち家の名義変更や、被相続人名義の預貯金なども解約もできないということです。

 

しかも前妻の子であっても、相続人という立場は現在の家族とも立場は同じですので、原則相続分は同じです。

 

前妻の子が相続分はいらないけど、手続きには協力しますと言わない限りは、現在の妻との間の子と同じ相続分を渡すことになります。

 

相続分がいくらというより、この場合は話し合いをすることも難しいことになります。

 

感情的に考えても、何十年も疎遠だった子供に、亡くなった方の財産の何割かを渡す事になるので、スムーズにいかない可能性が十分に考えられます。

 

次のパターンはこのような関係の場合です。

 

・結婚相手にすでに子供がいて、その子供と養子縁組などをしていない場合

 

この場合、結婚相手の子と養子縁組をしていれば、実の子と同じ扱いになりますので問題はありません。

 

でも何か知らの事情で養子縁組をしていないと、結婚相手の子供は相続人ではありません。

 

あくまで親族というだけです。

 

遺言がないと、相続分はありません。

 

仮に結婚後、二人の間に子供が生まれていて、兄弟として生活していたとしても、いざ相続が発生した時には、妻の連れていた子供には相続分がありませんので、遺産分割協議する資格はありません。

 

養親縁組するのを意図的にしてないだけでなく、知らなかっただけでも相続分はありません。

 

上記2つのパターンが典型的ですが、民法では実際の生活実績などで判断せずに、あくまで戸籍上の関係で相続は処理されますので、このような問題が発生することになります。

 

ではどうすればこのようなトラブルを避けれるでしょうか?

 

それはこのブログでも何度も記載していますが、遺言書を作成するのが一番の解決方法になります。

 

遺言でしっかり誰に財産を渡すのかを決めておくことが大事になります。

 

このような場合の遺言を作る際は遺言の文言や遺留分に十分に注意が必要です。

 

2つ目の例の様に奥さんのお子さんに財産を渡す場合で、養子縁組していないなら、○○に財産を相続させるではなく、遺贈するという文言を使わないといけません。

 

相続人ではないので、相続ではなく、遺言で贈与するという意味で、遺贈という用語を使います。

 

また1つ目の例では、仮に前妻との間の子に相続させない内容の遺言を作ったとしても、前妻との間の子には遺留分相当の財産を受け取る権利があります。

 

これは遺言を作ったとしても、遺留分を前妻との子が請求してきたら、渡さないといけません。

 

このルールを理解した上で、遺言書の内容を決める必要あります。

 

他にも色々注意点はありますが、何より再婚している場合は、相続時には様々なトラブルが起こる可能性がありますので、しっかりとした相続対策が必要です。

 

知らなかったから大丈夫ということはありませんので、正しい知識を身につけて、しっかりとした対策をしておきましょう。

遺言内容の変更の仕方

今回は遺言を変更する時のやり方について説明します。

 

遺言内容の変更の仕方

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一度遺言作成したけど、財産内容が変わったり、家族との関係性などが変わったため、訂正、変更、書き直しをしたい時のやり方をお伝えします。

 

遺言を訂正変更するには、法定のやり方に沿ってやらないと、その訂正変更自体が無効になってしまいます。

 

遺言が有効になる時というのは、遺言者は死亡した時です。言葉は良くないかもしれませんが、「死人にくちなし」の状態になってしまいます。

 

そのため遺言を作る時、訂正、変更、書き直し等する時は、法律基づいて直さないと、遺言自体が有効になりません。

 

すでに自筆で遺言を作られてる方も、修正テープを使ったりしないようにして下さい。

 

今回の記事ですべての内容を網羅することは出来ないので、今回は依然の遺言を撤回して、再度作り直す方法をお伝えしたいと思います。

 

・相続させる予定だった人が先に亡くなってしまった。


・新たに不動産など財産価値のあるものを取得した。

・遺言作成後の相続人との関係性などが変わったので、改めて遺言を作り直したい時。

 

上記の様な場合は、訂正や変更でなく、新しい遺言書を作成してしまった方がトラブルも少なく、スムーズにいくと思われます。

 

実は遺言書は何回作ろうが、問題ありません。

 

1回目の遺言と、2回目の遺言どちらも有効です。

 

1回目の遺言と2回目の遺言で内容が抵触する範囲で、2回目の遺言有効になります。

 

具体的には

1回目の遺言 A不動産をBへ C預貯金をDへ

2回目の遺言 A不動産をEへ 

 

上記の様になっていた場合、A不動産はEへ、C預貯金はDへ、というのが遺言者の意思とみなされます。

 

1回目と2回目の遺言で抵触しているA不動産の行き先だけが変更になり、何も触れられていないC預貯金は1回目の遺言がそのまま有効となります。

 

原則この様なルールになっているので、遺言書は何度作っても問題ないのですが、これでは残された家族も困りますし、手続きにも色々面倒なことが出てくると思われます。

 

その為、先ほど書いた様に新しい遺言書を新たに書き直すことが一番トラブルが少なくなります。

 

では遺言を書き直すにはどのようにすれば良いのか?

 

それは2回目の遺言の冒頭に下記のような一文を入れることです。

 

「遺言者は平成○○年○月○○日作成の遺言書を全部撤回し、改めて次の通り遺言をする」

 

このような文を入れて、改めて遺言書を作ることで、1回目の遺言の効力はなくなり、2回目の遺言が有効になります。

 

また一つだけでなく、複数作ってしまいる場合は、例文の様に日付で特定するのも良いですが、「本日より前の日付で作成した遺言書をすべて撤回し、○○~」と記載します。

 

この様な一文を入れることで、最新の遺言ほ書だけが有効になり、複数ある遺言書の解釈でトラブルが回避できます。

 

もちろん名前などの誤記などの訂正をする場合には、書き直しまでしなくても、民法に記載されている訂正の仕方で訂正すれば良いと思います。

 

しかし以前に作成した遺言と大幅に内容が変わった際は、説明したような形で再度遺言書を作るのが一番良いと思います。

 

遺言訂正時の外の注意点

 

他に知っておいて欲しい点は、自筆証書で作成した遺言を公正証書遺言で訂正することも可能ですし、逆も同じです。

 

遺言の形式面でなく、日付で判断されますので、どんな形式で遺言を作成していても問題ありません。

 

この様に遺言は何度でも書き直すことが可能です。

 

一度遺言を作ってしまうと、もう書き直せないので、まだ作れないと思っている方もいらっしゃいますが、何度でも作り直せますので、作る時にベストだと思われる気持ちで作成すれば、問題ないことが分かって頂けると思います。

 

また遺言書に書いた財産は使えなくなってしまうと考える方もいますが、遺言を書いた後に生前に処分しても何も問題ありません。

 

その部分の遺言を撤回したとみなされますので、特に遺言を書き直す必要もありません。

 

遺言は書きたい、書こうと思った瞬間がベストの作成タイミングですので、先のことはあまり考えすぎずに遺言書を作成して下さい。

 

遺言書があるのとないのでは、雲泥の違いになるのが相続ですので、是非遺言書作成にチャレンジして下さい。

相続放棄と遺留分放棄の違い

今回は相続放棄と遺留分放棄の違いについて説明します。

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相続放棄とは?

相続放棄という言葉は聞いたことがあるかもしれません。

 

一般的には相続放棄は何も相続しないことだと思われているかなと思います。

 

その通りではあるのですが、厳密には違います。

 

まず相続放棄は家庭裁判所での申述が必要になります。この意味で相続放棄という言葉を使っている方は少ないかなと思います。

 

亡くなった方と疎遠だったりするため、特に何もいらないという時に、相続放棄という言葉を使っていると思いますが、この場合は相続人ではあるけど、遺産分割協議において、何も相続しないという意味になります。

 

家庭裁判所で相続放棄の申述をすると、相続人としての地位がなくなります。

結果、相続人全員での遺産分割協議に参加する地位もなくなります。

 

また相続放棄には期限があります。

これは自分が相続人であることを知り、また相続する財産(負債も含む)があることを知ってから、3ヶ月です。

 

3ヶ月はとても短い期間です。上記の事実を知っていて、そのまま3ヶ月を経過すれば、特別な場合を除き、相続放棄をすることはできません。

 

仮に疎遠の関係にある相続だとしても、その人が事業などで借金などを背負っている時は、何もしらずにいると、相続放棄したくてもできなくて、借金を背負わさられる可能性もありますので、注意が必要です。

 

また相続放棄は被相続人の生前はすることができません。

 

例えば親子の縁を切っていて、親の財産は一切受け取りたくないと思っても、親が生存している間は相続放棄の手続はできません。

 

これは生前にお前は相続するな!などの被相続人または周りの相続人からの圧力がかからない様に、生前は手続きできなくなっています。

 

もし被相続人の側で相続させたくない人がいるのなら、遺言書を作ってしっかりと意思表示をしておくという事で解決できるからです。

 

では次にあまり聞きなれない遺留分放棄について、説明したいと思います。

遺留分の放棄とは?

遺留分とは相続人に保障された一定の権利のことをいいます。

 

例えば、養うべき相続人がいるのに、遺言で愛人に全財産を遺言で贈与してしまった時に、残された相続人がその愛人に一定の財産を請求できる権利のことです。

 

本来であれば、家族が相続するべきだった財産が愛人の手に渡ってしまったため、家族の生活のために、一定の額を愛人から取り戻すことができることになります。

 

この遺留分については相続放棄と違い、生前にも遺留分の放棄が可能です。

 

遺留分の放棄も家庭裁判所に申し立てるのですが、相続放棄とは違い、家庭裁判所の許可が必要になります。

 

相続放棄の場合は「申述」すれば放棄が可能です。申述とは申し述べることです。必要書類を提出して、申し述べれば相続放棄できることになっています。

 

これに対して遺留分の放棄は家庭裁判所の「許可」が必要になります。

許可が必要ということは、場合によっては許可されないこともあるということです。

 

遺留分は被相続人の家族が路頭に迷わないように、相続人に認められた一定の権利です。

 

これを放棄してしまった上で、相続人が生活に困窮してしまうと、生活保護等を使って、国や県、市が相続人の生活のために、税金を投入しないといけなくなる為、放棄の要件が厳しくなっています。

 

遺留分はあくまで被相続人が遺言をのこしていて、相続人に一定の額の財産がいかなくなってしまった時の制度です。

 

普段の生活では、余り聞き馴染みのない制度になりますが、実はこの遺留分の制度があることによって、遺言書を作る際には注意が必要になります。

 

自分の財産なんだから、死んだ後にどのように処分したって自由じゃないかと思い、遺留分を考慮しない遺言書を作成してしまうと、遺言書を作成しなかった時より、相続トラブルが発生してしまう事態も考えられます。

 

その為、遺言書を作成する際には十分な注意が必要ですし、残された相続人の人は遺言書があるからあきらめていた場合でも相続財産を取得する可能性も出てきます。

 

この様に、相続には一般の方にはあまり馴染みのない制度が沢山あります。

 

残された家族が困らない様にするためには、しっかりとした知識を身につけておくことが大事かなと思います。