相続時の代償金とは?遺産分割で代償分割には要注意!

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相続をするときには、「代償金」という金銭が発生することがあります。

 

代償金が発生するのは、主に不動産を相続するケースなので、相続時に不動産がある場合は注意しましょう。

 

結論からいうと、不動産を相続するときは、代償金を伴う代償分割ではなく「売却(換価分割)」を選択した方が良いです。

 

そこで今回は、代償金とは何か?代償分割とは何か?なぜ不動産を相続するときは、売却した方が良いのか?について解説していきます。

 

 

代償金は代償分割のときに発生する

 

代償金は、不動産を相続する際に「代償分割」を選択したときに発生するお金です。

 

代償分割とは何か?というと、相続人が遺産を相続したとき、その遺産と同じ価値の代償金をほかの相続人に支払うということです。(後で事例にて解説します)

 

 

代償金は不動産を相続する場合に多い

 

代償金が発生するケースは色々ありますが、不動産を相続したケースが多いです。

というのも、代償分割が発生するケースは、「遺産が分けにくい」というケースだからです。

 

たとえば、相続する財産が5,000万円という現金だけの場合は、その現金を相続人で分ければ良いです。

 

そのため、配分さえ決めてしまえば、特に問題なく分けることができます。

 

しかし、土地やマンションといった不動産を相続する場合はどうでしょう?

 

不動産にも色々な分割方法があります(後で詳しく話します)が、不動産は現金に比べて相続時に「分けにくい」資産であることは分かると思います。

 

一方、ほかの財産は不動産ほど分けにくいものではないので、必然的に代償金が発生する代償分割は、相続する財産が不動産のケースが多いのです。

 

 

代償金が発生する事例

 

たとえば、AさんとBさんという姉妹がいて、お父様が亡くなったことで土地を相続したとします。

 

このケースで代償分割する場合、たとえばAさんが土地を所有したら、AさんはBさんにその土地と同じ価値の代償金を支払う必要があります。

 

一般的に、土地の価値は不動産鑑定士などに算出してもらい、その価値がそのまま代償金になるという仕組みです。

 

仮に、土地の価値が1,800万円であれば、AさんはBさんに1,800万円の代償金を支払う必要があります。

 

 

代償金に関する2の注意点

 

ただし、代償金を伴う代償分割を選択した場合、以下2つの注意点があります。

 

経済的負担が大きくなる

贈与にならないようにする

 

まず、代償金を支払う人の経済的負担は大きいです。

特に、不動産の価値は1,000万円単位のケースも多いため、相続によって1,000万円単位の債務を負う可能性があります。

 

そのため、代償金を現金で支払えないケースも多く、その場合はローンを組んで代償金を支払うケースもあります。

 

また、代償分割にする場合は、遺産分割協議書の中で「代償分割」する旨を明記する必要がある点には注意が必要です。

 

そうしないと、代償金が贈与扱いになり、高額な税率が課せられるリスクがあります。

そのため、弁護士や司法書士に相談の元、しっかりと遺産分割協議書を作成した方が良いでしょう。

 

 

不動産を相続したら売却した方が良い理由

 

このように、代償金が発生する代償分割は、債務を負うリスクや贈与税を負うリスクなどがあります。

 

そのため、代償分割をするなら、不動産を売却して売却益を分配する(換価分割)方が良いでしょう。

 

不動産を売却すれば現金化できるので、その現金を公平に分ければ後々揉めることもありません。

 

また、当然ながら代償金が発生しないので経済的負担も大きくなりませんし、贈与税がかかるリスクもありません。

 

そのため、はじめにいったように代償金を伴う代償分割をするくらいなら、不動産を売却した方が無難といえるでしょう。

 

相続登記は必要か?結論不要ですが相続登記した方が良いです

 

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不動産を相続するときは、被相続人(亡くなった人)の名義から相続人(相続する人)の名義へ変更します。

 

これを相続登記といいますが、実は相続登記することは義務ではありません。

つまり、相続した不動産を被相続の名義のまま放置していても問題ないのです。

 

しかし、相続登記しないとデメリットがあるので、相続登記はするべきです。

さらに、相続登記は義務化される方針でもあるので、この点も相続登記すべき理由の1つといえます。

 

このブログでは、相続登記した方が良い理由や、相続登記の義務化についてお話していきます。

 

 

不動産の相続登記をしないと手続きが面倒

 

相続登記した方が良い1つ目の理由は、不動産の相続登記をしないと手続きが面倒になるからです。

 

というのも、不動産の相続登記をする際は以下の資料が必要です。

 

・被相続人と相続人全員の戸(除)籍謄本・抄本

・被相続人と相続人全員の実印・印鑑証明

 

 

用意するのが面倒

 

厳密にいうと遺言書がある場合や法定相続する場合は異なりますが、たとえば遺産分割協議による相続の場合は上記が必要です。

 

要は、色々な書類が必要であり、用意するのが面倒なのです。

 

そのため、時間が経つほど書類集めに苦労して、相続登記したくても登記できない…という事態になりかねません。

 

 

事例:土地を売却したいケース

 

たとえば、相続人が兄弟3人だとして、親から相続した(相続登記はしていない)土地を売却するとします。

 

しかし、土地の売却は名義人しかできません。

そのため、土地の名義人を被相続人から相続人の名義に換える必要がありますが、たとえば兄弟の1人が海外に住んでおり、もう1人は連絡が取れない…となれば非常に面倒です。

 

まず、海外に住んでいる兄弟の分の書類を取得するために委任状を用意するか、一時帰国してもらう必要があります。

 

また、連絡が取れない兄弟は所在を明らかにしなければいけません。

 

一方、相続時に兄弟3人が顔を合わせていて相続登記していれば、こんなことにはならなかったはずです。

 

不動産の相続登記は必要か?と聞かれれば答えはNOですが、上記の理由から相続登記はした方が良いです。

 

 

相続人が増えると面倒

 

相続登記した方が良い2つ目の理由は、相続人が増えると面倒だからです。

 

というのも、時間が経つにつれて相続人が亡くなる可能性があります。

 

たとえば、相続人が亡くなれば相続人の子どもが相続する権利を得るので、相続人が増えたり複雑になったりする可能性があります。

 

仮に、相続人である兄が亡くなり、その子供である甥が相続する権利を持っているとしましょう。

 

しかし、もし甥に会ったこともなければ、連絡を取り合うことすら面倒ですし、相続登記した後にどうするのか?という話し合いもしにくいです。

 

そのため、相続登記は行った方が良いのです。

 

 

第三者に主張できない

 

仮に、法定相続(法律に従った相続)をすれば、相続登記しなくても不動産の権利は第三者に主張できます。

 

しかし、遺産分割協議によって法定相続とは違った分割にした場合は、相続登記しないと第三者に権利を主張できません。

 

このような状態だと非常にリスクが高いので、相続登記は必須といえるでしょう。

 

 

相続登記が義務化される予定

 

日本では、現在空き家が増えていることが社会問題なっています。

その空き家問題の原因の1つに、「相続登記していないケースが多く所有者が分からない」という点が挙げられます。

 

そのため、2020年を目途に相続登記は義務化される予定です。

 

まだ詳細は決定していませんが、場合によっては相続登記しないと罰金を支払うこともあるようなので、早めに相続登記の準備をしておいた方が良いでしょう。

 

このように、相続登記は面倒ではあるものの、結局は相続登記しない方が面倒な事態になるかもしれません。

 

そのため、相続する際は遅滞なく相続登記した方が良いです。

 

相続時の不動産は売却するのはベスト!その理由とは?

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私はメガバンクの相続に関する部署にいるので、当たり前ですが相続に関する相談を受けます。

 

といっても、基本的には当銀行の預金に関する相談がメインですが、たまに不動産を相続したときにどうすべきか?という相談を受けることもあります。

 

そのため、相続と不動産売却と税金に関しての知識も割と詳しくなりました

そんな私からすると、不動産を相続したなら「売却」という選択肢がベストかと思います。

 

もちろん、ケースバイケースではありますが、多くの場合は売却した方がメリットは大きいです。

 

今回は、そんな相続と不動産売却について話していきます。

 

 

不動産を相続する方法

 

不動産を相続する方法は以下4通りあります。

 

・現物分割:不動産を一人の相続人が取得

・代償分割:不動産を一人が相続しほかの相続人に相応の金銭を支払う

・共有:不動産を相続人で共有する

・換価分割:不動産を売却して売却益を相続人で分割する

 

上記の中でおすすめする相続方法が換価分割であり、その理由をシンプルにいうと「リスクや手間がないから」です。

 

以下より、換価分割した方が良い理由について解説します。

 

シチュエーションとしては、Aさん・Bさんという兄弟が相続人であり、父が所有する一戸建てを相続した…という想定で話を進めます。

 

 

現物分割のリスクは不公平感が出ること

 

現物分割は1人が不動産を所有するので、仮にAさんが一戸建てを所有したとしましょう。

 

その場合、一般的にはその一戸建ての時価(査定価格)と同じ財産を、Bさんは相続します。

 

仮に、一戸建ての査定価格が2,000万円であれば、Aさんは一戸建てを相続し、Bさんは2,000万円の現金を相続するというイメージです。

 

しかし、将来的に一戸建ての価値は上下するので、不公平感が出る可能性があります。

 

たとえば、その一戸建ての周辺が再開発されて、土地の価値が大きく上昇したとします。

その場合、Bさんからすれば「公平に相続したはずなのに納得いかない」と思うかもしれません。

 

もちろん、当時は公平に相続したのでAさんが悪いわけではありませんが、Bさんの気持ちも分かります。

 

もしかすると、この不公平感が原因でAさんとBさんの仲が悪くなるかもしれませんし、BさんがAさんに金銭を要求する事態に発展するかもしれません。

 

このようなリスクがあるので、相続時は不動産を売却して、売却益を公平に分けた方が良いのです。

 

 

代償分割のリスク

 

代償分割は、不動産を相続した人の金銭的負担が大きい点と、現物分割と同じく不公平感が出るリスクがあります。

 

代償分割の場合、Aさんは一戸建てを相続する代わりに、Bさんに対して一戸建ての時価である2,000万円の代償金を負います。

 

その金銭的な負担は大きいですし、現物分割と同じく「今後不動産価値が上下する」可能性があるのです。

 

このような事態にならないよう、相続時の不動産は売却した方が良いと言えるでしょう。

 

 

共有のリスク

 

共有のリスクは、売買や賃貸時に所有者全員の許可がいる点です。

共有するということは、相続する一戸建ての名義はAさんとBさんの共有になります。

 

共有になるということは、その一戸建てを売却・賃貸するときの契約書には、AさんとBさん両方の署名・捺印が必要なのです。

 

仮に、一戸建てを共有名義で相続した後に、賃貸に出していたとします。

そして、5年後にAさんが「まとまったお金が欲しいから売りたい」と主張したとしましょう。

 

しかし、Bさんは「賃貸をつづけたい」となれば、売ることはできません。

 

このように、共有すると売買・賃貸時に共有名義人全ての許可が必要なので、非常に面倒というデメリットがあります。

 

このような理由で、相続時の不動産は売却(換価分割)がベストというわけです。

 

 

遺留分とは何か?相続人なら絶対に知っておくべき言葉です

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「遺留分」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

 

もしかすると、過去に相続を経験したことがある人でも、遺留分について良く分からない…という人もいるでしょう。

 

しかし、遺留分は割と重要な制度なので、相続人(相続を受ける人)は「遺留分」という言葉の意味と仕組みは知っておいた方が良いです。

 

今回は、そんな遺留分についてお話します。

 

 

遺留分は法定相続人を守る制度

 

遺留分は、法定相続人に認められている最低限の遺産取得分のことであり、相続人を守る制度です。

 

ちなみに、法定相続人とは法律で「相続人」と定められている人のことです。

 

相続が発生したとき、法定相続人は法定相続分…つまり法律に従って遺産を相続するのが一般的です(遺産分割協議をする場合もありますが)。

 

たとえば、相続人が配偶者と子供2人の場合、法定相続だと配偶者1/2・子供1/4・子供1/4が取り分です。

 

しかし、遺言がある場合は法定相続よりも基本的には遺言が優先されるので、法定相続人なのに「遺産をもらえない」という状態になりかねません。

 

このようなケースで、法定相続人は「遺留分」を主張し、最低限の遺産を守る(受け取る)ことができるのです。

 

 

遺留分は遺言でも侵害不可能

 

先ほどのように、遺留分は法定相続人の最低限の遺産を守るための制度です。

 

そのため、たとえば遺言書で遺留分を否定するような内容が書いてあっても、遺留分の確保が優先されます。

 

しかし、厳密にいうと遺言書に「遺留分を侵害する内容」を記載することは可能であり、その内容通りに相続されることがあります。

 

どういうことかというと、遺留分を主張するためには「遺留分侵害額請求」を行う必要があるのです。

 

 

遺留分侵害請求とは?

 

遺留分侵害請求とは、遺留分を主張することであり、遺留分侵害請求をしない限り遺留分の遺産をもらうことはできません。

 

遺留分侵害請求は、内容証明郵便を作成して、遺留分を侵害している人に郵送します。

 

たとえば、夫が遺言で「愛人に対して全ての遺産を相続する」と記載した場合、法定相続人である妻が、自分の遺留分を主張するために愛人に内容証明を郵送する…というイメージです。

 

また、遺留分侵害請求は相続を知った日から1年以内に行う必要があります。

 

 

遺留分侵害請求は弁護士に任せた方が良い

 

遺留分侵害請求は自分でもできますが、以下の理由で弁護士に任せた方が良いでしょう。

 

・内容証明を作成すること自体難しい

・相手との交渉をリードできる

・最悪訴訟の準備もスムーズ

・感情的にならないで済む

 

このような理由があるので、弁護士に任せてしまうことをおすすめします。

 

 

遺留分の割合は決まっている

 

次に、遺留分の割合の話です。

遺留分は割合が決まっており、その割合は法定相続の割合よりも小さいです。

 

というのも、相続人が遺留分を主張するということは、先ほどのように被相続人(亡くなった人)が不公平な遺産分配を遺言書に記載したときでしょう。

 

しかし、言い換えるとその分配比率が被相続人の「最期の希望」であり、それを完全に無視するわけにもいきません。

 

そのため、相続人を守るために遺留分という制度を用意しておくものの、被相続人の意志を尊重するために遺留分の割合は法定相続より小さいのです。

 

具体的には以下の通りです。

 

・直系尊属人のみが法定相続人:1/3

・上記以外:1/2

 

上記に該当しないケース…たとえば、兄弟・姉妹だけが法定相続人の場合には遺留分は認められません。

 

つまり、兄弟・姉妹は遺留分を主張できないので、被相続人の遺言書の内容通り相続されるということです。

 

 

直系尊属人のみが法定相続人のケース(遺留分1/3)

 

まず、直系尊属人とは親や子供のことです。

 

たとえば、Aさんが亡くなり、法定相続人がAさんの子供2人だとします。

しかし、Aさんは「愛人に全財産(1億円)を相続する」という遺言書を残したとします。

 

そのとき、子供2人が遺留分を主張すれば、1億円のうち1/3を受け取ることができます。

 

そのため、子供1人当たり「1億円×1/3(遺留分)×1/2(子供2人なので)=約1,666万円」が遺留分となります。

 

つまり、本来であれば1人5,000万円相続できたものの、遺留分のみの相続なので約1,666万円まで減額されるということです。

 

 

それ以外のケース(遺留分1/2)

 

先ほどと同じケースで、法定相続人が配偶者(直系尊属人ではない)のみだったとしましょう。

 

この場合、遺留分は「1億円×1/2(遺留分)=5,000万円」を遺留分として相続することができます。

 

本来であれば1億円を相続することができましたが、5,000万円に減額されていることが分かります。

 

このように、あまりハッピーな制度ではありませんが、遺留分という制度がある点は覚えておくと良いでしょう。

 

 

 

 

遺言書で遺産分割するときの注意点は?自筆証書遺言書は要注意!

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わたしはメガバンクに勤務しており、さらに相続に関する部署にいるので「遺言書」に触れる機会が多いです。

 

知っている人も多いと思いますが、相続時に被相続人(亡くなった人)が遺言書を残しているときは、基本的に遺言書の内容が優先されます。

 

ただし、相続人全員が遺言書の内容に反対する場合は、遺言書の内容に従う必要はありません。

 

とはいえ、遺言書がないと「遺産分割は法定相続に従うのか?」「遺産分割協議を作成するのか?」と揉めることが多い印象です。

 

そのため、遺言書があったった方が、遺産分割時にいわゆる「争族」に発展しない印象です。

 

そんな遺言書には「自筆証書遺言書」と「公正証書遺言」の2種類あり、それぞれ作成方法などが異なります。

 

結論からいうと、公正証書遺言書の方が確実な遺言書であり、自筆証書遺言書は注意点を知っておかないと、遺言書が無効になるリスクがあります。

 

今回は、そんな公正証書遺言書の内容と、自筆証書遺言書の注意点などについてのお話です。

 

 

公正証書遺言書は公証人に作成してもらう

 

まず、公正証書遺言書について。

 

公正証書遺言書は、公証役場などで「公証人」に作成してもらう遺言書です。

 

公証人が内容などをチェックしてくれるので、「形式が違う」などの要件不備で遺言書が無効になることはまずないでしょう。

 

ただ、公正証書遺言書の作成には、証人2人以上が立ち合い、公証人から本人確認や質問などを受けることになります。

 

そして、公証人が内容を記載し、その内容を証人に読み聞かせる…などの作業が必要な点は覚えておきましょう。

 

 

自筆証書は無効になるリスクあり

 

自筆証書遺言書は、遺言書を作成する人が、遺言書の文章・日付・氏名を自分で記載して、押印までする遺言書になります。

 

先ほど言ったようように、自筆証書遺言書は無効になるリスクがあるので要注意です。

 

 

 

形式によっては遺言書と認められない

 

自筆証書遺言書は公正証書遺言書と違い、(ほとんどのケースで)法律の知識がない人が遺言書を書くことになります。

 

そのため、形式が厳しく決まっており、その形式に違反している場合は「無効」になることもあります。

 

相続発生後に自筆証書遺言書が見つかった場合は、封を開けずに裁判所に持っていき「検認」という手続きを取ります。

 

ただ、検認を経たからといって自筆証書遺言書が有効というわけではなく、形式によっては無効になります。

 

そのため、遺言書としての効力が疑わしい場合や、遺言書の内容自体が明確でない場合などは、遺言書の内容を巡ってトラブルに発展する可能性があります。

 

つまり、本来はトラブルを起こさないため…そして被相続人の意思を尊重するための遺言書が、逆にトラブルの元になったり、意思が尊重されなかったりするケースがあるのです。

 

 

自筆証書遺言書で問題なるケース

 

では、実際に自筆証書遺言書で問題になるケースはどのようなケースかというと、たとえば

以下のようなケースです。

 

・日付が曖昧である(平成25年10月末日など)

・印鑑が押印されていない

・訂正方法が間違っている

・夫婦共同で遺言書に署名してしまっている

 

もしかしたら、え!?これだけで?と思う人もいるかもしれません。

そうなんです。これだけのことで無効になる可能性があるのです。

 

また、たとえば条件を付けすぎて複雑になり過ぎたり、相続させる財産が曖昧だったり…という理由で無効になったケースも聞いたことがあります。

 

遺言書が有効か無効かはケースバイケースで、さまざまな判例があるので一概にはいえません。

 

ただ、1つ言えることは自筆証書遺言書を作成するなら、確実に有効な遺言書になるように作成するということです。

 

もしくは、証人を探す…などの手間がかかるものの、公正証書遺言書を作成する方が確実でしょう。

 

遺言書を残したことで逆に相続人同士でトラブルに発展すれば、それは被相続人の意思に反しているといえます。

 

 

 

 

はじめに

 

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今回のブログでは、わたしがこのブログを開設しようと思ったキッカケなどを書かせてもらおうと思います。

 

プロフィールにも書きましたが、まずは簡単に自己紹介を…

 

わたしはメガバンクに勤務している30代の銀行マンです。

現在は相続に関係する部署に所属しているので、日々相続の相談に来るお客様に対応しています。

 

そんな、相続に関してプロであるわたしが、相続に関する正しい知識をお伝えしようと開設したのが本ブログです。

 

 

相続は難しい

 

わたしが本ブログを開設した理由の1つは、「相続は難しいことが多いから」という理由です。

 

みなさんは「相続」と聞くと何を思い浮かべるでしょうか?

 

恐らく、被相続人(亡くなった方)の資産をどうするか?遺言書はあるか?などが思い浮かぶと思います。

 

実はそれだけではなく、相続に関しては以下のようなことを考えなければいけません。

 

・そもそも生前贈与を考えるべきかのか?

・不動産はどのように相続するのがベストか?

・そもそも誰に相談すれば良いのか?

・相続人(相続する人)はどうやって特定すれば良いのか?

 

このように、相続が発生したとき…もしくは生前の間に考えなければいけないことがたくさんあります。

 

 

悩みはたくさんある

 

また、相続に伴い「行うべきこと」もあるので、相続に伴い色々悩みを抱えるものです。

 

代表的な例でいうと…

・自分が亡くなる前に生前贈与した方が良いのか?

・不動産を相続したが売却した方が良いのか?相続する兄弟で共有した方が良いのか?

 

などが挙げられるでしょう。

 

いずれも、わたしたち銀行マンだけでは解決できないこともありますが、そのときは税理士や司法書士などと相談しながら悩みを解決していきます。

 

いずれにしろ、相続が発生することで「行うべきこと」はたくさんあり、それに伴い「悩み」もたくさんあるのです。

 

 

気持ちが落ち込んでいる

 

そして、相続が発生しているということは、残念ながら大切な誰かが亡くなっているということです。

 

わたしが対応させていただいたお客さまの中にも、大切な人が亡くなり意気消沈している人はたくさんいました。

 

そのような状況で、先ほどいったように「行うべきこと」「悩み」をたくさん抱えることになるので、わたしの立場からは少しでも負担を和らげることができないかと日々考えています。

 

これが、わたしが本ブログを立ち上げた理由の1つです。

 

 

相続に関する正しい知識を得られない

 

また、対応したお客様の中には、相続に関する正しい知識を得ることができない…と悩んでいる人も多くいました。

 

もちろん、相続は自分達だけ全ての手続きを完了させることは難しいので、専門家に相談するケースが大半です。

 

しかし、相続方法などを自分できちんと判断するために、本を買ったりネットで調べたりする人は多くいます。

 

 

本を一冊読むのは大変

 

相続に関する知識を得るために最も多いのは、相続に関する本を読むことです。

しかし、本を読むといっても、そんな簡単に読める内容ではありません。

 

たとえば、遺言・生前贈与・法定相続人・路線価・登記…のように、相続は聞きなれない言葉がたくさん出てきます。

 

また、突然亡くなったのであれば本を読む時間もないです。

そもそも、本を読んで相続について勉強しようという精神状態でない場合も多いでしょう。

 

 

ネット記事は玉石混合

 

ほかには、ネットで「相続 方法」「相続 遺言書」などと検索すれば、相続に関するたくさんの記事が出てきます。

 

もちろん、その中には質の高い記事もありますが、ほかの記事を焼き増ししたような内容の薄い記事も多いです。

 

Googleも万能ではないので、質の高い記事を上位に表示させるとは限らず、記事の中には明らかに実務経験がない人が書いたような記事もあります。

 

そのため、ネット記事は本を読むよりも手軽ではありますが、玉石混合なので質の高い記事にリーチすること自体が難しいといえるでしょう。

 

 

弁護士や司法書士は敷居が高い

 

そして、最後に弁護士や司法書士に相談する…という方法です。最終的には、弁護士や司法書士のような専門家に相談するケースが大半ですが、やはり敷居が高いのも事実です。

 

普通に生活していれば、弁護士や司法書士と触れる機会はほぼなく、特に弁護士は相談料だけで何万円もかかるのでは…と思う人もいるでしょう。

 

だからこそ、まずは身近な「銀行」に相談していただけるのですが、やはり銀行では対応できる範囲に限界があるのも事実です。

 

このような背景もあり、少しでも相続についての正しい知識を得てもらうために、相続に関する実務経験を積んでいるわたしがブログを立ち上げたというわけです。

 

もちろん、弁護士や司法書士の方には、相続の知識面では及びません。

しかし、相続でお悩みの人が一番聞きたいことは、「実際どんなことをすれば良いの?」という点です。

 

この点であれば、逆に弁護士や司法書士の方よりもわたしの方がたくさんのケースを対応しているので、みなさんのお力になれると思います。

 

 

相続で不動産を売却した話

 

さいごに、わたしが相続に関して体験したエピソードを紹介させてください。

このエピソードで言いたいことは、相続の方法によって相続人の方の幸せは変わるということです。

 

 

不動産を相続した息子さんたち

 

今回のお話は、不動産を相続した3人の息子さんの話です。

仮に、Aさん・Bさん・Cさんとさせていただきます。

 

この3人は全員40代の方々であり、それぞれ家庭を持っていました。

小さいころにお母さまを亡くしたことで、お父さま一人で息子さん三人を育てたという家庭です。

 

そんなお父さまが、残念ながらご病気で亡くなられたことがきっかけで、銀行に相談をしにいらっしゃいました。

 

 

仲の悪い息子さんたち

 

そもそも当銀行に相談へ来た理由は、お父様が当銀行をメインバンクにしていたからです。

しかし、話を聞いてみるとお父様は自宅を所有しているため、不動産も相続する必要があるとのこと。

 

息子さんたちは、「父の思い出もあるので残しておきたい」という意向なので、共有で相続する予定でした。

 

しかし、少しだけ対応したわたしの目から見ても、この3人は明らかに仲が悪い様子…。

 

特に、長男のAさんと次男のBさんは目も合わせないので、三男のCさんと主に話をして2人がそれに対して同意をしたり否定をしたりする…という感じでした。

 

 

不動産の売却を促す

 

そんなとき、Cさんから「不動産を共有名義するときに何かデメリットはないか?」と質問を受けました。

 

不動産を共有名義にすると、名義人全員が同意しないと売却や賃貸することができません。

そのため、仲が悪い相続人が共有すると、後々揉めるリスクがあります。

 

もちろん、そんなことをストレートに伝えることはできないので、遠回しに「共有名義だと後々面倒になる可能性がある」ことを伝え、売却するのが最も楽な選択肢である旨も伝えました。

 

わたしの経験上、仲が悪い状態で共有名義にすると将来的に揉める可能性が高いです。

 

しかし、相続のときはお互い顔を合わす機会も多いため、相続時に売却してしまえば比較的スムーズに売却できることを知っていました。

 

 

売却を決意して感謝していただく

 

もちろん、銀行マンのわたしが不動産を仲介することはできません。

 

そのため、実務的には銀行でやるべき手続きだけ案内し、不動産の件は保留のままCさん達はお帰りになりました。

 

そして、後日Cさんから連絡があり、結局お父さまが住んでいた家は売却することにしたようです。

 

悩んだ末ではあったものの、今回の相続を機に兄弟3人で話し合った結果、みんなが納得して売却を決断したとのこと。

 

すでに査定までしており、割と高い金額で売れそう…という話でした。

そして、今回お父さまの家をどうするか三人で話し合ったことで、AさんとBさんの仲も少しは良くなったとのことでした。

 

Cさんからは、そんなキッカケをもらったことを感謝されたので、非常に嬉しく思ったことを今でも覚えています。

 

 

相続の正しい知識を付けよう

 

今回お話したエピソードは一例に過ぎません。

 

しかし、もしあのご兄弟が「不動産を共有名義にすると後々面倒」というデメリットを知らなければ、10年後兄弟間で揉めていたかもしれません。

 

要は、相続に関する正しい知識を付けることで、相続人の方が幸せな選択ができるようになるということです。

 

本ブログはそんな一助になるような記事を書いていきますので、相続でお悩みの方は参考にしてください。

 

 

プロフィール

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はじめまして。

わたしはメガバンクで相続に関する部署に所属している銀行マンです。

 

普段は相続に関する業務を行っており、今の部署で5年間働いているので相続に関しての知識は一通り網羅しています。

 

そこで、この知識をブログとして残すことで、相続に関してお悩みの方の助けになれば思っています。

 

 

私自身の経歴

 

私は都内の私立大学を卒業して、新卒で現在働いているメガバンクに入社しました。

銀行に入社した理由は、先輩が同じメガバンクで働いており、その人に憧れたからです。

 

やはり、メガバンクは日本最大級の金融機関であり、取り扱うお金も非常に大きいです。

そんな「金融の最前線」で働きたいと思い、第一志望だったメガバンクに縁があって入社できました。

 

入社してからは都内の法人営業部に配属され、ほかの同期達と同じように中小企業を相手に営業やフォローを行っていました。

 

そして、都内の支店を何店か回ったあとに、関西地方の支店に配属となります。

その支店でも変わらず法人営業をしていましたが、5年前に都内の支店へ戻ってきて、今の部署にいる…という経歴です。

 

 

相続部署でさまざまな業務を経験

 

現在の部署にはもう5年も在席しており、30代ということもあり責任ある仕事も任せられています。

 

たとえば、相続が発生したが資産をどうすれば良いか?という相談から、遺言や資産分割に関する相談も受けます。

 

また、相続に伴う不動産売却の相談などにも応じ、必要であれば関連会社とリレーションを取って、不動産売却のお手伝いをすることもあります。

 

法人営業とは全く違った仕事ですが、普段はなかなか触れることのない仕事内容なので、日々勉強することがたくさんです。

 

 

相続で不安に思っている人を助けたい

 

現在の部署にいて感じることは、当たり前の話ですが相続時は不安に思う人が多いということです。

 

そんな中、弁護士や司法書士に相談しつつも、銀行を頼ってくれることを大変うれしく思います。

 

もちろん、銀行口座があるから…という理由も大きいのですが、お客様と接していると「銀行は身近だから相談しやすい」という声もいただきます。

 

また、お客様からよく聞く話としては、「相続に関して調べても正確な情報がない」という点です。

 

確かに、相続に関するネットの記事を読んでみると、間違ってはいないけど実務を経験したことがないな…と思う記事ばかりです。

 

そんな背景もあり、相続に関する部署で実務を経験している私が、正確な知識をお伝えしたくこのブログを立ち上げました。

 

相続に関する疑問がある方はぜひ参考にしてみてください。